#05ビル新聞2018年6月18・25日合併号
「東京ビルメンテナンス協会」転倒災害防止セミナー
運動器の健康保持を
-自身の取り組みでリスク軽減-
(公社)東京ビルメンテナンス協会(佐々木浩二会長)は5月16日、東京・西日暮里のビルメンテナンス会館で、中央労働災害防止協会研修支援センターの三觜明所長を講師に迎え「転倒災害防止セミナー」を開催した。当日は約60人が参加し、演習も交えた講演を熱心に聴講した。
同協会・労務管理委員会労災収支改善小委員会の島田良雄委員長は、ビルメンテナンス業では転倒災害が多篤な障害を引き起こす災害であるとの認識が必要と指摘。典型的な転倒災害のパターンとしては「滑り」「つまずき」「踏み外し」があること、労災の9割は「不安全な状態」と「不安全な行動」が重なって発生していることなどを説明し、普段から"声掛け"ができる職場環境を作り、信頼関係を醸成することが重要と語った。そして転倒災害の防止対策としては、危険個所への見やすい注意表示、2S(整理・整頓)~5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)活動、作業に適した靴の着用、作業姿勢の安定などを挙げた。また高齢者の場合、身体機能の低下等にく、しかも50歳以上の高齢労働者の被災が多いこと、東京労働局の第13次労働災害防止計画(計画期間2018~2023年度)ではビルメンテナンス業が引き続き重点業種に指定されており、死傷年千人率5%以上削減が目標とされていることなどを説明。今日のセミナーを機に労災ゼロに向けて取り組むよう呼びかけた。
三觜氏は、死傷災害では同一平面上で転ぶ「転倒」災害が最も多く、場合によっては(墜落・転落と同様に)重より被災時に障害が重篤化しやすいことを説明。参加者に自分の身体的能力を確認する閉眼片足立ちや立ち上がりテストを体験してもらい、イメージと実際の身体機能のギャップが大きい場合は注意が必要と訴えた。
その上で日本臨床整形外科学会が提唱している「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」を紹介。主に加齢による運動器の障害のため移動能力の低下をきたし、要介護となる危険の高い状態のことで、「ひざ痛」「骨粗鬆症」「腰痛」「手足のしびれ・首の痛み」などの症状となって現れる。運動器の健康を保つためには運動機能と認知機能を高めることが重要とし、ストレッチングや筋力トレーニングの方法を紹介。転倒災害は、運動や健康管理など、労働者自身の取り組みでリスクを減らすことができることを強調した。