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インタビュー記事

#04

洗浄不要でカーペットがきれいになる、
注目の「スマートドライシステム」

株式会社リンレイ
業務製品事業部 プロジェクト推進チーム マネージャー 村上智信様

ワックスなど床用ケミカルを長年発売してきたリンレイでは、お客様の現場に入り込み、真のニーズを把握する姿勢が徹底している。そこで生まれた「スマートドライシステム」は、カーペットの定期洗浄を不要とする画期的なメンテナンス商品だ。経験年数の浅い人でも簡単にカーペットメンテナンスできる効果について、同社の村上様に伺った。

専用剤を散布してバキュームをかけるだけで、カーペットメンテナンスが完了

―今回は何を出展する予定でしょうか?

新しい発想によるカーペットメンテナンス「スマートドライシステム」を出展商品の目玉にする予定です。発売してから7年ほど経つのですが、最近改めて注目を集めるようになってきました。

―具体的にはどのような特長があるのでしょうか?

通常カーペットはポリッシャーで洗浄しますが、実はそれがかえって汚れを誘引してしまうことがあります。そこでこの「スマートドライシステム」は、洗浄作業ではなくバキューム作業だけでカーペットメンテナンスができる新しいシステムです。作業としては専用の美観向上剤「ドライピッカー」をカーペット全体に散布し、日常のバキューム作業をするだけです。散布したドライピッカーの粒がカーペットパイル1本1本に吸着すると、パイルのハリが戻り起毛してきます。そこにバキュームをかけることで、溜まっていた土砂汚れを吸い取ることができる仕組みです。
通常掃除機というのは、空気の流れがあるからゴミや土砂、ほこりを吸い込むことができるものです。元々タイルカーペットは裏がゴムでバッキングされているので空気の通りが悪く、歩行で押されるとさらにつぶれて空気の流れが悪くなっていました。空気の流れがないところでバキュームをかけても、全然土砂が回収されません。そこで「ドライピッカー」によってバキュームで吸い込みやすい状態をつくるようにしました。日常のバキューム作業で十分に土砂汚れを吸い取ることができるので、高い美観を維持できるようになるのです。

―どういう背景で開発されたのですか?

定期洗浄作業で水を使うと、業界で「ウィックバック」と言われる現象が起こってしまうことがあります。カーペットの奥に詰まった汚れが洗浄時に取り切れず、乾燥の過程で浮き上がってしまう現象です。たとえば日曜にオフィスカーペットを清掃して1晩乾燥させておくと、翌朝カーペットが乾いたときにそれが発覚します。月曜に出社した社員から「前より汚いんじゃないの」と言われてトラブルにもなりかねません。そのため表面だけの洗浄にとどめるケースもあるようですが、それでは本当の清掃になりません。
当社は技術研究所以外に、メンテナンス総合研究所という組織を持っています。実際に商品が使われる現場に入り込んでお客様のニーズや意見を吸い上げたり、完成後の商品に対して一番効率的な使い方を研究したりする役割です。こうした取り組みを通じ、時代のニーズをとらえた商品開発を常に意識してきました。

―土砂が溜まり続けると取り換え時期も早まりますか?

はい。カーペットは歩行によって摩耗しますが、通常の歩行だけならさほど問題ありません。しかしカーペットの隙間に土砂が入り込んでいると、土砂がやすりのように摩擦を起こし、擦り切れてしまいます。日本では早くて4-5年、長くて7-8年で張り替えることが多いのですが、カーペットメンテナンスの歴史が長いアメリカでは、適切なメンテナンスを行うことで10-15年は使うのです。
実はもう寿命だから張り替えようと言っていたあるビル内のカーペットに、当社のドライピッカーを試験的に使わせてもらったことがあります。その時点で10年経っていたのですが、ドライピッカーの効果と日常のバキューム作業の効果でどんどんきれいになり、その後5年経った今も張り替えずに使っているそうです。

―コストメリットはありますね

日常的なバキュームでメンテナンスを保てるので定期清掃がいらなくなります。すると、定期清掃で生じる水道代や光熱費、またオフィス休日時の作業で発生するビル管理対応の削減などにもつながります。洗浄汚水が出ない、省エネルギー対応という点でも効果がありますので、再注目されてきたように感じています。

初心者でも作業ができる簡便さが人気

―清掃現場の負担軽減にもなりますね

そうですね。清掃現場の人手不足は大きな問題になってきています。採用ができたとしても、熟練清掃員の域まで育成するのは大変です。たとえばカーペット洗浄の場合、ポリッシャーを回すのは訓練が必要です。しかし掃除機なら初心者でもかけられます。
以前にある大企業のビルで全面採用してもらったのですが、そのビル清掃を担っていた子会社で高齢化が進んでいたのがその背景にはありました。定年を迎える方が熟練者ばかりでしたので、新規採用者が同じレベルになるには相当時間がかかると考え、本システムに注目頂いたのです。
また、大型でコード付きのアップライトバキュームは清掃効果が高いのですが、女性や高齢の清掃者には扱いづらい重さが負担となってきます。またコードがあると、オフィス内で物をひっかけたり、電源トラブルが生じたりするリスクを抱えてしまいます。一方、バッテリータイプは作業がしやすいのですが、吸引力が随分劣りがちです。そこで「スマートドライシステム」ではバッテリータイプ、かつ吸引力の高いスイーパーを独自開発しました。実際に空港内の施設で実験をしたのですが、アップライトバキューム以上の回収量が3分の1程度の時間で実現できることが測定されたのです。高齢の女性でも扱いやすいサイズなので、採用先からは好評の声を伺っています。

―カーペット清掃が生じる場所は非常に多いですね

当初はオフィス、ホテル、ショッピングモールを主に考えていたのですが、公共施設、結婚式場、アミューズメント施設など様々なところでカーペットが使われていることを改めて認識しました。新発売のスイーパーは音が静かなので、病院や図書館でも採用頂きやすいとのことです。

新品カーペットを「予防メンテナンス」することも可能

―カーペットの染みはどうしたらよいでしょうか?

従来は染み部分に洗剤をつけて除去していましたが、そうすると散布していたドライピッカーも一緒に取れてしまいます。そこで、染み取りの中にドライピッカーを混ぜた新商品を3月に発売しました。染み部分に吹き付けておくと、染みが除去できると同時に、ドライピッカーを自動的に補充できます。

―新品カーペット導入時からできるメンテナンスもあるのでしょうか?

はい。汚れる前にドライピッカーをかけると、パイルコーティング状態をつくることができます。「汚れを落とす」というより「きれいな状態を保つ」発想で日常のメンテナンスをすることができるので、かかる労力も少なくてすみます。新設のショッピングセンターなどで、この発想を取り入れてくださるところも出てきました。

―展示会はどのような期待で活用していますか?

商流としては専門代理店を通していますが、直接ビルメンテナンス会社、ビルオーナー様などへご案内する機会の1つとして展示会を活用しています。当社は全国各地への転勤機会があるのですが、全国からお客様が来る「ビルメンヒューマンフェア&クリーンEXPO」は、赴任時期のお客様に再会できる楽しみもあります。

―来場者へメッセージをお願いします

最近、このシステムをビルオーナーの方にプレゼンテーションする機会が増えてきました。契約でクリーニング手法を先に決めてしまっている場合もあるかもしれませんが、ビルオーナー側も人手不足やコスト限界への問題意識を強くお持ちです。「定期洗浄のいらないメンテナンスを導入したい」「契約金額内で効果的な方法があるなら変更したい」という声はいろいろな場面で伺っています。この「スマートドライシステム」はビルオーナー側、ビルメンテナンス側双方にwin-winとなるものだと思いますので、ご関心がある方はどなたでも立ち寄って頂けたらうれしいです。

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