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インタビュー記事

#06

管理人なしでも安全と安心を届けるビルに
~IoTを活用した次世代のビルメンテナンス

株式会社VIVIT
代表取締役 CEO 伊藤光一様

時代に先駆けて新しい技術に着目し、その活用化に向けて多くの挑戦をし続けてきたVIVITは今、「IoTをもっと身近に」を掲げ、IoTの様々な活用シーンの創造に邁進している。ビルメンテナンスでの活用もその1つだ。IoTは、ビルの老朽化対応、ビル内の環境保全、滞在する人の健康管理など様々な面で活用することができるという。具体的にどのようなことができるのか、伊藤様に伺った。

インターネットを介してモノがつながることで、新たな価値が生まれる

―貴社の事業について教えてください

IoTコンサルティングやIoTプロジェクトの運営・マネジメントを行なっている会社です。その1つの事業がビルメンテナンスへのIoT活用支援です。IoT(Internet of Things)は、「モノのインターネット」と呼ばれ、世の中のあるゆる「モノ」がインターネットを介してつながることにより、新たなる価値を生み出す技術であり概念です。
最近ではIoTなどの技術を活用した「スマートビルディング」という言葉もかなり浸透し始めていますが、これは新築の大型ビルだけに焦点をあてたものではありません。むしろ築年数を重ね、メンテナンスが重要になってきている中小規模のビルほど、活用の必要性があると私たちは考えております。今回の展示会では、主にこの中小規模のビルでの活用事例を中心にご紹介していきたいと考えています。

―貴社ではこれまでも時代に先駆けた取り組みをされてきていますね

設立して13年が経つのですが、当初は広告メディアの開発事業を主に手掛けていました。その中で当時注目したのは電子ブックなどに使われている電子ペーパーです。電子ペーパーは省電力で使える特徴がありましたので、その技術を活用した中吊り広告や屋外サイネージの製作を始めました。この時、掲示先をインターネットでつないで遠隔からの操作を試みたのですが、これが「モノとモノとがインターネットでつながる重要性」に注目する契機になりました。バス停の時刻表をインターネットでつなぎ、運行情報や防災情報を送れるようにした「スマートバス停」なども当時手掛けています。
その後、インターネットを介してモノとモノとがつながる価値と、省電力という2つのキーワードに注目してIoT事業の推進を始めました。

ビルの安全、安心を高められるIoT活用

―ビルメンテナンスにIoTを導入すると、何ができるようになるのでしょうか?

まずIoTは、私たちの生活を「もっと安全に、もっと便利に、もっと感動的に」してくれます。ここではその中でも「安全」に着目した、ビルメンテナンスにおける活用例を3つほどご紹介します。
1つ目は、ビルの老朽化管理のサポートです。ビル内の主要箇所をセンシング(センサーを使用して情報を計測)すると、メンテナンスの必要な箇所やそのタイミングを特定することができます。たとえばエレベーターにセンサーをつけておくと、動いた回数や頻度、運んだ人数や重量などのデータが蓄積され、部品や機器の劣化状態を定量的かつリアルタイムに把握することができます。これにより適正なメンテナンスのコストをコントロールできると共に、正確な安全管理ができるようになるというわけです。
2つ目に、ビル内の環境保全のサポートです。ビル内で使われている水や空気の状態を常時監視し、そのデータを日々蓄積しておくことにより、そこに居住する人や、働く人の生活環境を常にクリーンで安全に保つことが可能になります。
最後に3つ目は、IoTで、ビル内に滞在する人の健康までサポートすることが可能になるという例です。そこに滞在する人々のバイタルデータをセンシングすることで、オフィスビルであれば過労やストレス状態のチェックに、マンションなどであればおひとり住まいの無事確認などに活用していくことができるのです。またそれらのデータを、医療データなどとマッチングすることで、より細やかに健康をサポートすることも可能になります。
このようにIoTを活用することで、ビル設備そのものだけではなく、ビル内の環境やビルに滞在する人々の健康ケアまでも可能になります。今回私たちはこの考えをもって、ビルメンテナンス業に「新しい可能性」を提案したいと考えています。

―貴社ではどのようなサービスを行っているのですか?

IoTを使ったビルメンテナンスを構築する為の、サービス設計、システム設計、ネットワーク設計、機器調達などをワンストップで手掛けており、全くの初期段階からご相談に乗らせて頂きます。IoTは複数の業種による共創によって新たなサービスが生まれるケースが実に多く、お客様の課題によっては、協力パートナー様をご紹介するところからご支援をすることもあります。また、弊社独自のサービスもございます。セミナーや展示ブースではこれらのご紹介もしたいと考えています。

―IoTの「共創」というのは特徴的な考え方ですね

スポーツの世界が競争しつつもお互いにプレーをたたえ合うように、ビジネスの世界でも、ある面では競争しつつ、ある面では相互に認め合う事が必要だと私たちは考えています。特に新しいことを進める際には、自分たちだけで進めると狭い発想になりがちです。一歩引いて考えると「この部分は他社と組む方が有効なのではないか」「この組み合せがあれば、課題を突破できるのではないか」という発想も持てるようになります。
以前ある大型プロジェクトを手がけさせて頂いた時に、我々が持っている技術だけでは突破できない壁にぶつかりました。この技術を持っている会社を探して組もうとしたのですが、実はその会社にライバル会社の資本が入っていたのです。当初は組むのが難しいかもしれないと思ったのですが、その企画内容が本当に社会に必要な取り組みだと思ったので、誠意と真剣さで交渉を続け、情報をできるだけ開示し、そこから徐々に協業の枠が広がり、結果として共創が進んだ経験があります。もちろん全てがそううまくいくことばかりではなく、また共通の目的が明確であることが前提にはなりますが、IoTを契機に違う業界同士がコラボレーションできる余地はたくさんあると思っています。

メンテナンスノウハウにIoTを加えてビル環境を一層サポート

―ビルメンテナンスとIoTをつなげられたきっかけはあるのでしょうか?

実は「ビルメンテナンスでIoTを活用する」という発想はあまりありませんでした。
ただ、街や建物、職場や居住環境を、「もっと安全に、もっと便利に、もっと感動的に」して行きたい。という観点は常に持っておりました。例えば、もしも空調や給水環境に異常が出たら、途端に人の体に異変が起きてしまう。そこをもっと確かな形で守り、さらに快適性を増すためにはどうしたらよいかを考えていった時に、「IoT×ビルメンテナンス」という発想にたどり着いたのです。また、この思考の延長で、「今まで日本の社会が安全に保たれていた背景には、ビルメンテナンスという業界があったから」ということに気づき、そこに敬意の念を持ち始めました。
一方、この業界でまだ顕在化していない問題や将来的に課題になることがあるなら、私たちの「IoT共創観点」で共に取り組めるのではないかと考えるようになりました。これまでの多くのご経験をお持ちの業界の先輩方と共に取り組ませて頂きたいと思っています。

―今回は出展者セミナーでもお話し頂きますね

はい。「IoTを身近に活用~次世代のビルメンテナンスに新しい安全と新たな価値を」というテーマで、具体的な活用事例をご紹介する予定です。先程も申し上げましたが、特に「ビルメンテナンス×IoT。次世代のビルメンテナンスは、建物のケア、生活環境のケア、滞在する人々の健康のケアが可能になる」という論点で、実際に今進めている事例を絡め、IoTという言葉を初めて聞く方にとってもIoTを身近に感じられるようなお話しをしたいと考えています。今回の展示会ではじめて公開する事例もご用意します。是非多くの方に聞いて頂きたいです。

―来場者へのメッセージをお願いします

本展示会は業界の専門家の方が多くご来場なさると伺っており、業界のニーズや課題を多く伺える貴重な機会であると捉えております。弊社ブースではいくつかのデモンストレーションも展示する予定でございます故、是非セミナーと合わせて足をお運び頂ければ幸甚です。

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