【生産性向上の支援・情報提供】特別編 パネルディスカッション開催レポート(ビルメンヒューマンフェア&クリーンEXPO2024)
パネルディスカッション開催レポート
『BM業界における生産性の向上に必要なこと~アクションを起こすためのヒント~』
特別編となる今回は、ビルメンヒューマンフェア&クリーンEXPO2024(1日目)内のセミナー会場にて開催されたパネルディスカッション『BM業界における生産性の向上に必要なこと ~アクションを起こすためのヒント~』についてお届けします。
本パネルディスカッションは「ビルメンテナンス事業者の生産性向上」につながる定期的な情報発信、イベント開催を行うため、今年度より設置された「人手不足対策事業運営WG」のメンバーが実施したものです。当日は現場従事者、企業の事業戦略担当者、経営者と多岐にわたる参加者総勢137名が集い、大変盛況となりました。
ビルメンテナンスの生産性向上について、実際の取り組み事例や第三者視点での意見を含め、新たな発見の場となり好評を博した、パネルディスカッションの様子をレポートします。
◆ そもそも生産性向上とは?
◆ 清掃従業員のアンケート調査結果(何を求めているの?)
◆ 13%のコスト減に成功した契約方法とは
◆ 都市部大手企業のロボット・DXへの取り組み
◆ 外国人技能実習生の活用について
◆ 設備導入(ウルトラファインバブル)による生産性向上
◆ 資機材で魅せる清掃の時代 etc.
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パネルディスカッション ダイジェスト
【セミナー 概要】
■タイトル:パネルディスカッション『BM業界における生産性の向上に必要なこと ~アクションを起こすためのヒント~』
■開催日:2024年11月20日(水)14:30~15:20
■場 所:東京ビッグサイト 東展示棟
■参加数:137名(79社)
■登壇者:人手不足対策事業運営ワーキンググループ(ビルメン経営者1名、社内担当者2名、メーカー企業2名)
■内 容:
今回の主題でもある「ビルメンテナンスにおける生産性向上」について登壇者の皆様からご自身における「生産物」「生産性向上」の考え方、考え方に基づく取組み(事例)の紹介を行っていただきました。発言時には各々がキーワードを持ち寄り、事例と併せて発表しました。
<キーワード>
「快適な空間、安心安全な空間」
「サービス品質 = 生産物、ロボット/DX×生産性向上、SDGs×生産性向上」
「生産性向上に必要なこと⇒現場の方々の負担を減らす、楽にさせること」
「清掃ツールで生産性向上」
「巡回作業の効率化はIoTを活用したDX化
~手間と人工をかけていた作業が出来ない時代の作業効率化の解はIoTの活用にあり~」
以下、当日のパネルディスカッションより抜粋
―― 「世間一般的な生産性向上とは?」(人手不足対策事業運営WG座長 森脇 大統氏) ――
世間一般的に生産性向上とは「人員や資源によって生み出される成果が向上している状態」といわれています。混同されがちなモノとして「業務効率化」がありますが、「業務効率化」は「ムリ」「ムダ」「ムラ」を削減し、業務を合理化することで、「生産性向上」のための一手段に過ぎません。また、通常、生産性は「付加価値労働生産性」と「物的労働生産性」の2種類が存在します。
「付加価値労働生産性」は労働時間あたりで生み出された「付加価値額」を測る指標で、情報やサービスといった主に無形商材を扱う業界で多く用いられる生産性の考え方です。
一方「物的労働生産性」は労働時間あたりで生み出された生産量や生産個数といった、目に見えるものを測る指標です。不動産や自動車、食品業界、メーカーといった有形商材を扱う業界や、工場などの現場では、「物的労働生産性」の考え方が適しています。
生産性の向上が強く求められるようになった背景としては、近年の「労働力人口の減少」、「国際競争力低下」、「従業員の意識の変化」などが要因だと言われています。
―― 「ビルメンテナンスにおける生産性向上とは?」(登壇者全員) ――
(事例紹介)※その他の事例紹介は動画をチェック
例えば、最近トイレの出入り口付近にタブレットモニターが設置されていて、ご利用者様に評価をして頂いているという見かけた方もいらっしゃるのではないでしょうか? すべてのタブレットがそういう目的で使用されているとは限らないのですが、お客様の評価を基準に清掃の実施や消耗品の補充対応に活かすやり方の事例となります。
例えばトイレのご利用者数を把握し、分母とします。これにお客様から得られた評価、「キレイ」「汚れている」といったざっくりした指標を当てはめて、「汚れている」という回答の割合がどの程度まで増えると清掃が必要な状態になるか? といったデータを取り現場の指標とする。というような仕組みです。
もちろん、すべての現場に当てはまるというわけではありません。施設の性格によってご利用者様の属性も違いますので、タブレットアンケートに参加していただける割合も変わってくると想定されますので、そこはIoTの得意領域であるデータ取得および分析から始める必要があると思います。
これからのビルメンテナンスはデータを活かして従来のやり方を大胆に変えて効率化を図るDX化が欠かせないと思います。
―― まとめ
BM業界ではこれまで「生産物」がプロセスでしたが、これでは代替リスク(ロボットや他業種)の懸念があるため、今後は「生産物」をアウトプット(顧客価値)に切り替えることが大切なのではないでしょうか。また「顧客価値」は顧客ごとに異なり、現状「正解」はありません。しかし、限られた資源の確保を含めて我々自らが考え、行動を起こすことでしか生産性の向上は成し得ないと考えています。
ビルメンテナンス業は、生産費の80%弱が人件費という典型的な労働集約型産業でありながら、生産年齢人口の減少などにより人材の確保が非常に困難になっており、令和4年度の有効求人倍率は2.65(厚生労働省職業安定局調べ)となっています。
コロナ禍を契機とした衛生環境ニーズ、地球温暖化を契機とした脱炭素・省エネニーズなど、ビルメンテナンス事業者に対する社会からの期待が高まるなか、これに応えるためにはビルメンテナンス事業者が「限られた条件で成果を出す=生産性向上」に取り組むことが欠かせません。
全国ビルメンテナンス協会ではビルメンテナンス事業者の皆さまが自社の生産性向上に取り組むためのヒントを、取材記事や動画、ウェブセミナーや見学会イベントなど、さまざまな形で随時提供して参ります。
ぜひ気になること、全国協会に調べてほしいこと等あれば下記フォームよりご連絡ください。
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