mv mv-sp

CASE85 ガソリンエンジン付き高圧洗浄機で急性CO中毒!-換気が不十分な場所での内燃機関持ち込み作業にご用心-

2024/12/25 10:00

【事故エピソード】

Aさん(63歳)は、同僚のBさん(72歳)と一緒にスポーツクラブの温水プールのシャワー室、更衣室の清掃を始めた。Aさんが壁や床を高圧洗浄機(ガソリンエンジン付き)で洗い流し、BさんはAさんの作業の終わったところをブロアー(混合燃料エンジン付き)で水気を吹き飛ばすという手順だった。
シャワー室は屋内プールとつながっていたが、ドアは閉めたままで作業を行っていた。30分ほど作業を続けていたところ、二人ともほぼ同時に頭痛、吐き気を感じたので急いで作業を止め、事務所に助けを求めた。すぐに病院に救急搬送され、事なきをえたが、一酸化炭素(CO)中毒と診断された。

[1]冬場はCO中毒の危険性が高くなる!?

一酸化炭素は、石油、ガソリン、炭などの炭素化合物が不完全燃焼する際に発生します。無色・無臭のため、なかなか気づきにくい気体で、しかも空気とほぼ同じ重さで、強い毒性を有しています。一酸化炭素を吸入すると赤血球中のヘモグロビンと結合し、血液の酸素運搬能力が下がることにより中毒が起きます。
一酸化炭素中毒は、頭痛、吐き気などからはじまり、その後、昏倒、致命傷に至るため、無意識のうちに被災するという特徴があります。
災害が発生しやすい場所としては、トンネル、タンク、地下室など換気が十分行えない場所ですが、冬場は特に寒さから窓を閉めきった状態で作業することも多く、多くの場所で起きる可能性があります。エンジン付きの発電機や排水ポンプ、事例のような高圧洗浄機などを使用しての事故が多く発生しています。
さらに、仕事だけでなく、一般生活のうえでも換気の悪い場所での車のエンジンの空ふかしやガソリン発電機の使用などで重大な災害が発生しています。
事故事例では、2台の内燃機関の機器、工具を使用していたこと、シャワー室という形状で仕切りが多くガスが滞留しやすい構造だったこと、シャワー室全体の換気をほとんど行っていなかったことなどが事故の要因となりました。

この記事はマイページ会員限定です。登録(無料)すると続きをお読みいただけます。