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清掃とは? リーダーとは? 会社の成長とは? 「人間力」を磨くことで、その答えが見えてくる。

2022/07/20 13:00

2022.07.20 13:00 更新

23歳で最年少所長に就任するが、強引なスタイルに、社員からは反発も・・・・・・

―― 御社は若手社員が多いですね。阿部さん自身20代で管理職に就任されています。

阿部 おっしゃる通り当社は社員の平均年齢が約31歳と若く、かつ会社がアメーバ経営(部門別独立採算制)を行い、34の管理部門それぞれに独自の裁量を与えているためモチベーションが高いことが特徴だと感じています。
私自身は18歳で入社し、2年目に最優秀賞社員賞を受賞、5年目の23歳で当時最年少の所長となり、27歳で品質管理部の部長に就任しました。入社して16年の今は、技術部の統括部長と品質管理部の部長を兼任しています。
とはいえ23歳で所長になったときは、業績を伸ばそうとするあまり横柄な態度で仕事をして部下の信頼を失いかけたり、大きな失敗をしたりといったことも恥ずかしながらたくさんありました。

――若くして責任ある立場で、プレッシャーも大きかったのでは。どのように乗り越えたのですか。

阿部 本当に何度も壁にぶち当たりましたが、その過程で「本当に大切なのは人間力だ」ということを学びました。リーダーとなるために磨かなければいけない部分を見直し、自分の時間を作って積極的に人間学の本を読むようにしました。
それは会社の教え「価値観力の高い集団であり続け、100年、200年続く安定した企業となり、人類社会の進歩発展に貢献する」という行動指針にもつながっています。
また、人間的成長を求め続ける集団であり続けるために、教育制度を充実させており、新卒研修や社内の研修センターで行う技術研修はもちろん、職種別の研修、スキルアップのための勉強会、社長自ら開催してくださる「未来塾」「成長塾」と題した研修などもあります。

――おそらく業界でも教育研修の量はトップクラスなのでは。

阿部 そうかもしれません。「人材育成」を意識してくれており、そこには多大な時間をかけてくれていると実感しています。社員に対してはもちろん、日常清掃を担っていただくパート、アルバイト、技能実習生に対しても、しっかりと研修を行ってから現場に配属されるので、お客さまからも安心感が違うと評価いただいています。
また、私自身もリーダー育成研修を開催しています。数年前に「100億円企業を目指そう」とプロジェクトを立ち上げ、私がリーダーになりました。そこから「やはり大切なのはベクトルを合わせることだ」と、私自身も人間学やリーダー育成のための研修である「アクションラーニング」を開催するようになりました。先日、3年間の研修を乗り越えた6名の社員全員が無事に部門長となったときは、講師である私自身も感動で胸がいっぱいになりました。

同社で年に1度開催される「技能オリンピック」は、日本一の清掃技能をもつ集団を目指し、技能水準の向上を図っている。
阿部さんは持ち前の向上心を活かして過去3度の受賞を果たし、「匠」の称号を得て審査員として評価する立場となっている
将来のリーダーを育てるために実施している研修の一つである「アクションラーニング」の講師としても活躍。リーダーとしての心がけや仕事内容に加え、学びを習慣化すること、隙間時間の使い方などあらゆるテーマで講話を行う

3年後、5年後を見据えながら経営をサポートしていきたい

―― 会社としては38年目になりますね。

阿部 1984年に三浦光一社長が創業しました。
経営が大変な時期もあったようで、その時に社長自身が社外の勉強会に参加したり、毎朝誰よりも早く出勤して社内の環境整備を行ったり・・・・・・といったことをコツコツと積み重ねてきたと聞いております。
社長が行ってきたことを我々もしっかりと引継ぎ、朝礼では一人ひとり瞑想をして心を整え、その後は45分間ほど環境整備として事務所内外の清掃を行います。安全・礼儀・規律・清潔・整頓・衛生といった心と技術を磨く時間であり、最も環境整備に力を入れた社員には表彰もあります。この活動が、個人として、そして会社としての成長に繋がっていると感じます。

―― 御社の主軸となる業務は。

阿部 清掃が主力サービスで、中でも日常清掃が多いです。30戸~1,000戸のマンションまで幅広い規模に対応しており、ガラスや外壁清掃、植栽管理なども行っています。また、設備等の点検や、24時間365日緊急対応もします。2014年よりハウスクリーニング業務もスタートさせており、近年、事業としてもかなり伸びています。
いずれの事業も自社スタッフで対応していることは我々の誇りであり、品質や対応といった部分でお客さまに「第一さんだから安心だね」と評価いただくことも非常に多いと自負しています。
また、「クリーンワン」というエリア管理、「ダイイチサスティナビリティ」という時間契約ではなく性能契約によって清掃管理を行うなど、社員のアイデアやお客さまのニーズをもとにした事業の強化にも力を入れています。

――実務を優先させるあまり、社員教育や研修がおろそかになってしまうという話も聞きます。しかし御社はその部分を非常に大切にして経営基盤を構築されていることに感銘を受けました。
最後に、今後の目標を教えてください。

阿部 会社として急成長を遂げている今だからこそ、変えるべきこと、そして変わらずに大切にすることなどをしっかりと見据えることが大切だと思っています。売り上げや利益ばかりに目を向けるのではなく、お客さま、そして社員の満足の追求を続け、「こんな会社があって本当によかった」と言っていただける会社であり続けたいと考えています。
また、ここ数年は事業内容のスクラップアンドビルドとして、お客さまの理解を得ながら先を見越した価格改定や仕様の見直しなども行っています。後手に回らないよう、3年後、5年後、10年後といった先を見据えて体制を整えています。
私自身は経営管理職にいることもあり、三浦社長の教えをしっかりと形に残していくこともまた、自分の仕事だと考えています。

広々とした研修センターを完備。床清掃やガラス清掃に加え、消防設備や給排水設備などの設備も備わっており、現場で即戦力となるための教育を行っている
出社後は15分ほどの朝礼を行い、その後に社内の環境整備として社員による清掃を実施。社内はいつも整頓され、気持ちよく仕事に向き合うことができる環境を維持している
社員2,618人全員が統一のユニフォームを着用。2015年にはユニフォームリニューアルが行われ、阿部さんが担当して今のデザインになった。カラーには、「大自然からの命(いぶき)を感じ環境に携わりながら、その一員として共に成長する意欲」をあらわしているという