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【特集】新入社員・ベテラン社員への「オンライン研修」のススメ
~無料のビジネス基礎オンライン研修「マイビズアップ」活用事例紹介~

2023/06/07 11:55

4月より、本社や現場へ配属された新入社員や、春の組織変更によって立場や所属が変わる方も多くいらっしゃいますが、コスト面や時間の調整などの折り合いがつかず、社内研修がなかなか実施できずに6月を迎え、まだまだ「今年の教育、どうしようか……」とお困りの企業も多いこの時期。
現在は新型コロナウイルス感染症は2類から5類へ変更となりましたが、新入社員教育から企業研修まで、「教育」の実施方法には大きなトレンドの変化が起こっています。
今回の特集では、コロナ禍をきっかけに発生した企業研修の変化について今一度振り返るとともに、全国ビルメンテナンス協会で提供している会員限定で無償の利用が可能な「ビジネス基本スキルオンライン研修『マイビズアップ』」の紹介および、会員企業での活用事例について解説いたします。

「マイビズアップ」とは?
全国ビルメンテナンス協会が会員企業限定で提供している「基本的なビジネススキル」のオンライン講座です。
ビジネスマナーから始まり、マネジメントや経営スキルまで、約400のビジネス講座を取り揃えており、2021年6月から提供を始めて以来、326講座、計16,200回が受講されています。
会員企業にご所属の方は、マイページから無料で何人でも受講が可能です。ぜひご活用ください。

コロナ禍による企業研修の変容
~”いいとこどり”のハイブリッドへ~

2020年より全世界で猛威を振るい続ける新型コロナウイルス感染症の影響によって、日常生活や経済活動における感染防止の取り組みが進み、新しい生活様式がスタンダードとなっていく中、企業が特に困ったのが「集合研修」のあり方です。

2020年、新型コロナウイルス感染症が爆発的に拡大していく中、ワクチンの登場も追いつかず、「大勢の人が同じ場所に集まること」を回避することで対応せざるを得なくなりました。
その結果、企業研修はそのあり方そのものの変容を迫られることとなりました。
コロナウイルス感染症の登場が突然であったこと、また爆発的に拡大していったことから、企業側の体制作りも間に合わず、「従業員を集めることができない」が、対応策の準備も整えることが難しい状況にありました。
採用活動や企業研修をはじめとした社内におけるすべての事項に対して「人を集めない代替策」としてオンライン化を進めようと試みるも、社会全体が突然のことに対応しきれず、大混乱しながらも「オンライン」への『移行』を模索することになりました。

翌年の2021年には、新たな技術やプラットフォームが多数現れ、また混乱の1年を経て、企業を含め社会全体の「コロナ化への適応」が加速しました。
社会における「勤務の在り方」が変化し、当初完全に手探りの状況だったテレワークも、社会のスタンダードとして定着していくなど、急速に新たな生活様式の基盤が整い、そして適応していきました。

ビルメンテナンス業界をはじめとして、感染リスクがある中でも、社会を維持するために現場で働き続けなくてはならない「エッセンシャルワーカー」が中心となる業界では、業務を行う上での感染リスクそのものは避けられなくとも、可能な限り従業員が感染リスクに曝される機会を減らすための通勤スタイルなど、様々な工夫が取り入れられてきましたが、その中でも特に混乱があったのが「企業研修」でした。

感染リスクを回避するために、研修の場をオンラインへ移行したはいいものの、集合研修と同じ内容をオンラインでそのまま実践したことで失敗したり、また従業員間でのオンライン環境の違いやITリテラシーの違いにより、十分な研修効果が得られないといったことも多く、トライ&エラーの中で企業は対応していくこととなりました。

企業や社会が一定の答えを見出したのが2022年のことだと言われています。
2年間のコロナ禍を経て、またワクチン接種や一定の感染対策が確立されたことを受け、「オンラインでよいもの」「集合しなければならないもの」の住み分けがなされました。
その結果、現在はどちらか一方に偏るのではなく、適宜使い分け、併用を行う、いわゆる「ハイブリッド」がスタンダードとして受け入れられていきました。
2023年5月より、ついに5類感染症へと位置づけが変更されましたが、コロナウイルスそのものの脅威が下がったわけではありません。スタンダード化した「ハイブリッド」の流れを元に戻すのか、それとも継続して活用していくのか、企業は選択に悩んでいます。
今回の特集では、ビルメンテナンス協会が提供中の無償で利用できるオンライン研修「マイビズアップ」にいち早く取り組み、成果を挙げている株式会社小田急ビルサービスでの取組事例について紹介します。

オンライン研修活用事例紹介
~株式会社小田急ビルサービスでの取組~


小田急ビルサービスでは、サービスの基礎となる部分の強化と更なる品質の向上を目指し、2020年4月より新たに品質管理推進部を設立し、基本的に最低限確保すべき基準を検討・作成・制定を行い、全社基準の整備を行いました。
規則、マニュアル、作業標準等の整備を求めるもの、また定められた通り実施できているか、実施状況を定期的にチェックすることを求めるものとなりました。
この全社基準では、「職業倫理」としてコンプライアンスやマナー・接遇、個人情報の取り扱いや、情報システムの取り扱いなどの項目や、契約履行、協力会社管理など、様々な項目に渡るものです。

この全社基準の設定後、課題としては「教育の実施」そのものが挙げられました。
これは臨時従業員の比率が高く、かつシフト制の勤務の多いこと、また管理物件が点在していることから、「集合教育で対応することが難しい」というビルメンテナンス事業特有の課題でした。
また、「全社基準」とは別に、個別に複数の部門から所属員が基礎的なビジネスマインド・スキルを持ち合わせているか、不安が品質管理推進部に寄せられました。

若手の従業員は…
入社時に人事の教育を受けているが、実際のビジネスで基礎的な部分は問題ないか?

ベテランの従業員は…
各々のやり方で取り組んでもらっているが、基礎的なやり方をおさえたうえで独自性を出しているのだろうか?
今の時代のビジネストレンドから外れていないか?

部門としては…
基礎的な部分がしっかりしているのだろうか?
組織として問題ないだろうか?


そこで、小田急グループ内で好事例として存在していた、スーパーマーケットの運営を主体とする小田急商事での教育事例を参考とすることにしました。
スーパーマーケットは臨時従業員の比率が高く、かつパートタイムの多い環境。
ビルメンテナンスと類似の環境のそこでは、「eラーニングの実施」「確認テストの実施」「履修結果の一元管理」により効果の高い教育に成功していました。

この事例を参考として、eラーニングや確認テストを取り入れようと考えた際、ちょうど全国ビルメンテナンス協会が提供を開始(2021年7月頃)した「マイビズアップ」を知ることとなりました。
「マイビズアップ」を小田急商事で行っていたeラーニング教育システムと比較検討を行ったところ、以下のような課題が抽出されました。


論点としては、独自でビデオ教材とシステムを作成した場合、どうしても取り上げる項目に限界があるのに対し、マイビズアップでは様々な項目が用意されているものの、履修の記録や受講の成果の数値化の面で充足されない課題があったことから、以下のように、充足されない部分については自社の工夫で対応し、実践を開始したとのことでした。

〇オリジナル問題の作成
この教育の狙いは、品質推進の一環で行うことから、すべての従業員が満点を取れることではなく、教育対象部門がeラーニングを行った結果として、どれだけ向上が図れたのかを数値化することにありました。
そのため、結果を数値化することにより、対象部門の弱点の「見える化」を図り、次の教育へとつなげていくことを狙いとしてオリジナルの問題を作成することとなりました。

<オリジナル問題作成に当たっての課題と工夫>
①eラーニング前後の結果の差を効果として数値化したい
→eラーニングの前でも高得点が取れるような平易な問題は避ける。
→事前確認テストと実施後確認テストに分けて実施する。

②ベテランの従業員でも、真剣に取り組める問題にしたい
→ベテランの従業員でも、即答できず思考を求めるレベルの問題とする。

③eラーニングを真剣に受けてもらえるようにしたい
→eラーニングを聞き流すだけでは正答が出来ない問題とする。

④一昔前の常識は、今のビジネストレンドからずれていることが認識できる問題にしたい
→一昔前の常識をあえて選択肢として一部の問題で組み入れる。


〇ベテラン従業員の受講への動機づけ
長年のビジネス経験から独自に気づき、作り上げた流儀を「V.S.O.P」として認めるとともに、ビジネスの基本について再認識することにより、さらに磨きがかかることが期待できると考えました。

小田急ビルサービスの「V.S.O.P」
V バイタリティ
S スペシャリティ
O オリジナリティ
P パーソナリティ
年代が高くなるにつれ、独自性や人そのものの魅力が必要となってくる。
ベテランは、実際にこれに近い形でビジネスの力を磨いていることと思うが、基本を確認したうえでの、オリジナリティやパーソナリティが大切であり、基本が認識されているからこそ魅力的になるものと考える。
そこで、もう一度ビジネスの基本について確認する機会を設けた。部門における「更なるお客様満足の実現」のため取り組んでまいりましょう。

このように、ベテランが培ってきた経験や現在のトレンドと合致していないものを否定するのではなく、肯定し、さらに磨きをかけるために、というモチベーションづくりを行うことで、前向きな取り組みを促しました。

〇実施効果と次なるアクションへ
まずはビジネスマインド・ビジネススキルの項目を中心にeラーニングでの教育を計画し、実施を行いました。
その結果、平均正答率の向上を数値として確認することができました(60%→90%)。
また、受講後の確認問題で正答率が低かった項目の洗い出しを行ったところ、「eメールに関する事項全般」に弱点が存在していることが明確となりました。
これを受けて、品質管理推進部門では弱点の重点志向での改善として「eメールに関する事項全般の強化」を目指し、対象部門への支援とともにビジネスメールマナーの手引きの作成に取り組んでいます。
同社は、今後はマナーやコミュニケーション、その他への拡大を行うとともに、オリジナル問題をより一元管理しやすいようツールの整備を進め、他部門への展開を目指していくと語りました。

〇利用した感想
・はっきりとした表現や、強い言い切り口調での解説となっているため、現在のスタンダードのトレンドが分かりやすい
・上記のような表現で伝えてくれるため「ビデオで言っていることは現実とは違う」「私はこんなやり方はしていないが、成果を出しているので、ビデオを見ても改めるつもりはない」といった意見が寄せられることがなかった。
・いつでもどこでも見ることができることに加え、項目ごとにコンパクトに構成されているため、活用しやすいと感じた。

〇事例提供・協力

株式会社小田急ビルサービス
品質管理推進部 シニアスペシャリスト

有泉 勝也 氏


〇企業情報
株式会社小田急ビルサービス
〒151-0053 東京都渋谷区代々木2-28-12小田急南新宿ビル
取締役社長:菅澤 一郎

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