【生産性向上の支援・情報提供】第2弾 <社内における事業企画の活性化と新サービス>
第二弾 生産性向上に取り組む事業者へのインタビューと新サービス解説
第二弾となる今回は、ビルメンテナンス企業でありながら自社で製品やシステムを開発する大成(株)様にその思いと生産性の向上への取組みについてインタビューしました。
今回の生産性向上のポイント |
以下の生産性向上に資するメリットを享受
◆トイレ清掃時間を約60%削減!
◆洗剤の使用量削減でSDGsへの貢献を実現!
■ T-Bubble導入前 ■ (通常のトイレ清掃) |
■ T-bubble導入後 ■ (簡易清掃+通常のトイレ清掃) |
<通常清掃> ・作業時間: 2.5分/器 ・頻 度: 5回/週 合計時間: 50.2h/月 |
<通常清掃> ・作業時間: 2.5分/器 ・頻 度: 1回/週 <簡易清掃> ・作業時間: 2.5分/器 ・頻 度: 1回/週 合計時間: 18.5h/月 |
◆◇◆
インタビュー
大成株式会社
取締役 常務執行役員(営業セクター管掌 兼DX企画開発室 室長) : 加藤 千加良 氏
―― 大成(株)は、ビルメンテナンス企業でありながら自社で製品やシステムを開発していると伺いました。どのような企業理念のもとで取り組んでいるのでしょうか?
私たちは創業から66年、数多くの企業さまやお客さま、現業所で活躍してくださっている従業員の皆さまと関わりを持ってきました。そのなかで、普段のサービスに加えてもう少しお客さまや従事者に寄り添った新たな「付加価値」を提供していきたいという思いが私の中に漠然とありました。そんな中、8~9年ほど前に、とあるベンチャー企業さまとお仕事をする機会があり、一定の型に捕らわれず多角的に挑戦する、その姿勢に大変なカルチャーショックを受けました。
これをきっかけに、社員が現場目線で必要なモノや足りない事柄を考えて議論し実行することが社員個人と仕事の価値を高める行為だと改めて認識しましたし、私たちビルメンの視点を持って企画・開発された製品であればお客さまにとっても、これまで微妙に手が届かず歯がゆかった部分やちょっとした悩みの解決に至るモノとなり得るのではないかと考え、社内に「業務企画部」という部署を立ち上げ、本日まで製品の企画・開発をしてきました。
―― お客さまへの提案や従業員の負担軽減に注力した業務企画部の取り組みは、当時、斬新な考えだったかと思います。これまで、困難も多かったと思われますが、どう乗り越えてきたのか、教えてください。
「業務企画部」は当時私含め3人でスタートしました。もともとメーカーではないのでアイディアを形にするために日々トライアンドエラーを繰り返しました。また、製品化のヒントを得るために100社以上の主にベンチャー企業さまを訪問し、新たな刺激やアイディアを得ました。その中で大変ありがたいことに我々に共感し、協力してくださる方も増えていきましたので、今日に至る大変重要な過程だったと思います。
業務企画部で最初に販売した製品はセキュリティカメラです。当時はIoTという言葉が浸透し始めたころで、カメラの性能が良い分、高額で手の出しづらさがありました。そこで、利用者の高齢化が進む中、本当にユーザーにとって必要な機能は何だろうかと議論し、あえてスペックダウンをして必要な機能のみを集約した製品を商品化したところ、これが予測以上に良い反響をいただきました。
当時は業界全体が今より保守的な傾向もあり、社内でもメーカーさんの既製品を使えばよいのでは?という、少しだけアゲインストな雰囲気はありましたね。しかし、一か所導入が決まった後の広がりは早かったです。0から1にするのは大変でしたが、やはりユーザー目線で考えられた製品・サービスは社員、現業所従業員のニーズにピタッとはまるのだと確信しました。これまで無かったものに対して壁はありますが、失敗を恐れず挑戦をし続けられる、会社の風土づくりは、これからの時代に非常に大切だと思います。
―― コロナ禍を経て8~9年前と比べ世の中の情勢も変わっていると思いますが、どう感じますか?
コロナ禍を経て「人」自体の価値や、働き方に大きな変化があったと感じています。これまでのように「&バリュー(施設の価値を高める)」を目的とした製品ではなく、ロボットやAIのように「人」が持つ価値そのものをサポートする製品とその費用対効果を見るように視点がシフトしてきていると感じますね。
私は、ビルメンの仕事には「人」しか持ちえない経験則や勘が必要不可欠であると考えます。ただし人手不足の影響はどうしてもありますので「人」でなくてもできる部分はロボットやAIを活用して補う、いわゆるハイブリッド(複合)管理が今後のスタンダードになると思います。私たちは、人手が不足していく今だからこそ「人の価値を上げる」、「人がもたらす付加価値を高める」お手伝いをしたいと考えています。
―― 新たな発想のコツや、社内(社員)で意識させていることはありますか?
基本的なことですが、DX企画開発室(旧:業務企画部)のメンバーには自分のやってみたいという「思い」を大切にしてもらっています。本人に「思い」があると一生懸命取り組んでくれますし、その質も高まります。また、製品企画にはできるだけフラットな視点から意見が上がるよう、経験の浅い新入社員や若手社員に積極的に取り組んでもらうようにしています。
時には市場の流動性を加味して企画の過程で製品化をあきらめることもあります。ただ、製品化を諦める判断をする際には、本当にその製品(アイディア)に将来性や有効性が無いのか、同様の製品を他社が手掛けた際には成功するんじゃないかと、そこだけはメンバーに最終確認をしてます。若手が新しい概念や発想でトライアンドエラーを繰り返しながらも、生産性の向上や人手不足対策を生み出せる。私たちはそんな会社の風土を目指しています。
―― 次に大成(株)の新しいサービス『T-Bubble』とはどのようなものでしょうか。
『T-Bubble』とは水を変えて、ビル清掃を効率化しようというものです。少し詳しく説明しますと、建物内のすべての水をウルトラファインバブル水(UFB水)に変えることで、清掃品質を維持したまま、清掃コストを削減することができます。
UFB水という細かな泡の水を使うことで、水自体にやすり(研磨剤)のような効果が付与されます。その結果、『洗浄性効果の上昇、洗剤使用量削減、水質浄化機能』等につながり、コスト削減と同時に環境配慮に貢献できる製品になっています。
―― 水自体に機能を持たせるんですね。今までにはあまりない発想に感じます。開発の背景を教えてください。
弊社では部署という垣根関係なく若手社員でチームを組んで新しいアイディアを出してもらう取り組みをしています。チームで話し合う際に一番重要視したことは現業所従業員が働きやすい環境を作ることです。
ウルトラファインバブルとの出会いは偶然ですが、清掃業務の中でも一番といっていいほど大変なトイレ清掃が改善できるのではないかと思い、すぐにメーカーさんに連絡して企画をスタートすることになりました。トイレ清掃に関して、ロボット開発の数自体が少なく、開発されても実用化が難しいという状況下でのひらめきでした。この製品は人手不足やSDGsなどの問題に対しても効果的ですが、開発のきっかけや根幹にある思いは『現業所の方の負荷を軽減したい』というものなので、ぜひ多くの企業に導入してほしいと思います。
―― T-Bubbleの効果はどれほどでしょうか。具体的な効果を教えてください。
効果ですが『清掃品質を維持したまま、約63%の清掃時間削減が可能』です。実証テストしたビルが自社ビルだったことも良いことで、お客さまのビルではできないリミットテストもできました。清掃回数や状況をさまざまな仕様に変更して2年間続けた結果、品質が悪くなる事象がなかったので無事製品化となりました。
【機能や効果の詳細は以下をクリック!】
―― どのような方にT-Bubbleを利用していただきたいですか。
ビルオーナーさまに知っていただきたいのはもちろんのこと、同業のビルメン企業さんにもぜひ活用していただきたいと思っています。先ほどもお話したように現業所の方の負担軽減がコンセプトです。さらに人手不足対策の解消にもつながります。オーナーがロボットなどを自ら検討して導入するのではなく、ビルメン企業が主体で提案することで業界全体の雰囲気も変わっていくと思います。
―― 今後、製品開発やサービスの提供で目指すところは何でしょうか。
働く人のステータスをもっと高めていきたいと思っています。人手不足により人のロボットやITを活用しなければ立ち行かない時代が来るからこそ、人ができる作業、判断したりしなければいけない役目がより重要になってきます。現業所の方にしかできないことに集中していただくために我々がいるんだとか意識しています。
結果、現業所の方一人ひとりの価値、重要性が高くなると思います。価値が楽しく仕事をやっていただくためにも、負荷が高い作業やロボットITでもできる製品やサービス提供し、判断や経験が伴う重要なことは人が行う、そんなハイブリットな職場を目指していきます。
―― ビルメンテナンス企業、業界に対して一言お願いします。
今はまだ業界全体が人手不足と言われながらもギリギリ耐えることができていますが、致命的に人手が足りなくなる時は必ず到来すると思っています。今からその時に備えていくことが大切です。その備えは、すぐにロボットやIT機器を導入するということではなく、今までのやり方を変えることに挑戦する風土づくりだと思います。
困ってから応急的に対応するのではなく、今から小さい変化に挑戦する、トライアンドエラーを繰り返すことで職場の環境や雰囲気が変わると思います。ぜひ、周りの情報にアンテナを張っていろいろなことにトライしてみてはいかがでしょうか。
―― ありがとうございました。
大成株式会社は、2024 年11月20日(水)~11月22日(金)の3日間、東京ビッグサイトで行われるイベント「ビルメンヒューマンフェア&クリーンEXPO 2024」に出展されるとのこと。興味がある方はぜひ足を運んで、直接お話を伺ってみてはいかがでしょうか。
大成株式会社
【名古屋本社】〒460-0008
愛知県名古屋市中区栄3-31-12(大成ビル)
【東京本社】〒102-8578
東京都千代田区紀尾井町4-1 ニューオータニガーデンコート
TEL:03-5214-1777(代表)
代表取締役社長 CEO:加藤 憲博
事業内容: ビルメンテナンス業、警備業、駐車場の管理、建築・土木工事全般に関する請負、労働者派遣事業、太陽光発電事業、建物・公共施設等の運営管理に関する請負ならびにコンサルティングほか
https://www.taisei-bm.co.jp/
※1水流1mLあたり(純水・圧力0.3MPa)に含まれる発生量、計測器:SALD-7500nano、原水:超純水、個数:約5,000万個、気泡径:モード径 約0.112μm
「ファインバブル」「ウルトラファインバブル」は一般社団法人ファインバブル産業会の登録商標です。ウルトラファインバブル機能は株式会社シバタの商品を使用しています。
◆◇◆
記事内容について気になる点やその他、生産性向上施策や技術で気になることがあれば是非お問い合わせください。
◆◇◆