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【生産性向上の支援・情報提供】第3弾「現場ファースト」のロボット導入で大幅コスト減

2025/02/26 12:00

第三弾 生産性向上に取り組む事業者へのインタビューと新サービス解説 

栃木県宇都宮市に本社を構える環境整備株式会社は、床清掃ロボットを30現場に導入し、大幅なコスト削減に成功した。ビルメンテナンス企業と機器メーカーとの二人三脚で、「すべては現場に歩み寄る」「とにかく現場を止めない」という“現場ファースト”の取り組みを取材した。

今回の生産性向上のポイント

以下の生産性向上に資するメリットを享受
 ◆ロボットの導入で1現場あたり年間160万円以上の人件費削減を実現
 ◆小型のコードレスクリーナーへの切り替えで作業時間が半分に
 ◆早朝夜間の商業施設清掃を、人材が確保しやすくお客様にもメリットのある日中の清掃への切り替えを提案し両者の生産性を向上

■ 導入前 ■ ■ 導入後 ■

・人手が足りない、集まらない
・コード式掃除機で作業時間30分
・早朝夜間は人手が集まらないうえに高時給

・人とロボットがお互いの強みを活かして業務効率化
・小型のコードレスクリーナーで作業時間15分
・営業時間中の清掃の成果が認められ定着化


インタビュー

環境整備株式会社(左から)
清掃事業部長 村上俊明氏(以下、村上
南関東支店長 野中洋亮氏(以下、野中

ケルヒャー ジャパン株式会社(右から)
営業本部 業務用チャネル&ターゲットグループ 部長 兼 中部リージョン 部長 藤村生寿氏(以下、藤村
業務用営業部 首都圏リージョン 部長 小川学氏(以下、小川
業務用営業部 業務用チャネル&ターゲットグループ BSC エキスパート 柴山礼孝氏


村上 さまざまな業界で「人手不足」と言われている中で、弊社も例に漏れず、どの現場でも人が足りない、なかなか集まらない、ということが課題でした。
この問題を解消できなければ、今後、既存の現場も回らなくなるリスクや、新たな受注の受け皿も広げられないため、未来を見据えるうえで、どうしても解消する必要があると認識していました。
人が雇えないのであれば、解決する手段としてはもうロボットを入れていくしかない、決めてからやり方は考えよう、という進め方で導入に踏み切りました。

村上 成功例の一つとして、例えば1現場あたり年間約160万円以上の人件費を削減できた事例があります。30現場合わせると、年間約5,000万円ほどになります。ここにロボットの導入コストを鑑みると、5年弱で回収できる計算です。
5年が早いと感じるか、遅いと感じるかはさまざまかもしれませんが、現在の人手不足の状況を踏まえると、人とロボットとがお互いの強みを活かして、補完し合いながら業務の効率化を図ることができるので、弊社ではメリットの方が大きいと考えています。
これはもちろん、試算段階でそれだけの経費削減が見えていたとしても、例えば実際の現場では半分しかロボットが稼働できていなければ、人件費の削減額も半分ということになりますので、現場との連携をしっかりと進められた結果だと思っています。
また、その他にも数年前から、弊社で使用している機材として主流だったコード式の掃除機から、小型のコードレスクリーナーへ、入れ替えを行っています。
毎回コンセントを探して、コードを巻いて、という作業が必要なくなったことや、機材が小型化したことで作業がしやすくなりました。時間で言うと30分かかっていた現場が、半分の15分に短縮できるなど、生産性向上の効果を実感しています。

村上 ロボットを新たに導入するにあたって、どのメーカーのどんな製品を選ぶのかという導入までのハードルと、現場での運用が軌道に乗るまでのハードルがあると思います。
まず、機材を選ぶ上で重要だったのは、いかに故障などがなく現場のスタッフに使い続けてもらいやすいかということです。機材が止まってしまったら、余計に人の手がかかってしまいますので。

小川 各メーカーの製品の特徴がさまざまで、それぞれの強みを活かした戦略が取られています。清掃の現場によってさまざまなニーズがある中で、どれを選んだらいいか分からないというのが、多くのユーザー様にとって導入のハードルのひとつになっているのではないかと思います。
メーカー側としては、製品を導入していただくときのメリットは比較的提示しやすい部分ですが、導入後に生産性や省力化がどれほどできるのか、可視化して検証することが次のハードルになるユーザー様が多いと感じます。環境整備さんはそれができたというのが要因ではないかと思います。

藤村 環境整備さんの現場へ製品を導入していただくにあたって、現場を止めないというのが一番の優先事項でした。万が一の場合、代替機の準備をするのか、人が行ってすぐ直すのか、いろいろな付帯サービスを併せて提案させていただきました。

村上 現場のスタッフが高齢化していることもあり、ロボットだったり新しい機器というのに苦手意識を持たれる方は多いです。導入しても、現場で使いこなせるのか、という問題はもちろんありました。
本社の事業部で決めて「はい、明日からロボット使ってね」と現場任せにしてしまっては、本当の意味での生産性の向上は実現できないと考えていましたので、どのように現場に落とし込んで、稼働できる状態を作っていくか、計画的に実行するということには特に注力しました。
なにか課題が出てきたときには現場のみなさんと一緒に考え、ひとつひとつ解決しながら拡大させていきました。

野中 本社の専門部隊がバックアップ体制をとり、2名の本社スタッフを「ロボットの導入責任者」として、1週間ずつ30現場を回りました。
1週間、付きっきりでレクチャーして、全員ができるまでちゃんと見極めて、次の現場、また次の現場と回っていきました。
もちろん、その後のフォローアップの体制も作っていて、何かあったら直接電話をもらって、こうしてくださいっていうやり取りを継続しています。

村上 すべては現場に歩み寄るっていう考え方ですかね。これまでやってきた仕事のやり方を変えなくちゃいけないというのは、誰でもおそらく嫌だと思うんです。普段から一生懸命に働いてくださってるからこそ「今までこうやってきたのに」っていう思いがあるはずです。
それを前提として「今後も人手不足は進んでいくから、みんなが大変になる、だから今みんなで協力してこれを稼働していきましょう」と、こちらの意図を説明して、一人ひとりに理解してもらうというところに注力しました。
本社のスタッフが実際にデモンストレーションをやる姿を見せて、「これだったら私にもできるかも」という人を何人も増やしていくような感じでやってました。
現場と意見がぶつかることもありましたが、まずは現場にいるリーダーから信頼を深めて、少しずつ時間をかけて進めました。

野中 その後は、いったん離れても実際にどのぐらい稼働しているのか、ロボットの通信機能も使って把握して、現場に任せっきりにならないように、管理者側でチェックしていくことも続けています。

村上 これまでと違い、商業施設での清掃を、営業中の時間帯でやらせていただくことを提案しています。
人材を集める中で、特に人が採用しづらい時間帯というのが早朝です。そのハードルを乗り越えるために、お客様にさまざまな形で提案をして、ご理解いただけるようになってきました。
通常、商業施設では、転倒事故や衝突事故のリスクをなくすため、開店前に綺麗にしてお客様を迎えましょう、という考え方でしたが、ケルヒャーさんからもヒントをいただき、お客様に最低限迷惑をかけないような工夫をし、一緒にその提案のための検証を重ねて実現にこぎつけました。
例えば、水を使っての清掃は、転倒リスクが高くなってしまうため、残水が極力少ないスペックの機材を設定していただいたり、お客様が足をひっかけることのないようにコードレスの掃除機を導入しました。

野中 機材以外の運用面では、作業に集中してお客様と衝突することがないように、お客様に背を向けないことや、トイレであれば安全面を考慮して、お客様の出入りをいったん封鎖させていただき、自動音声で近くのトイレへのご案内を流すなど、作業マニュアルにも一つひとつ落とし込んでいきました。
営業時間中にも工夫してできることは取り入れつつ、それでも高い場所の埃を取ったりするのは、お客様に落ちてしまう可能性があるからそこだけは開店前にやりましょう、といった具合に、ご来館のお客様の安全・安心・快適に配慮しながら、いかに美観を維持できるのか、お客様にご納得いただける提案を模索しました。
また、閉店時間中の清掃を行わないことで、その時間帯にかかる照明などのエネルギーコストを削減できることなど、オーナー様への付帯メリットも合わせて提案しました。
その成果をご理解いただき、現在は、営業時間中に清掃を行うという運用が一般化されつつあるような状況です。一緒に取り組んでくださっているケルヒャーさんにはいつも感謝しています。

小川 私たちが販売しているものは、洗浄機やロボットなどですが、基本的にはそれは一番最後で、「それによって得られる価値をいかに作りあげられるか」ということが最重要と考えています。そのために、営業担当者だけでなく、本社でもサービス、プロダクト、それぞれの責任者を含むチームとして情報も共有しています。
人手不足の解消や、生産性の向上というのは取り組まなくてはいけない課題だと思うので、製品さえ導入してもらえれば…ということではなく、一緒になって課題を検証して結果を共有して、改善を繰り返していけるようなユーザー様とのお付き合いを今後も増やしていけたら嬉しいと思っています。

村上 この先 、10年、20年、50年と考えたとき、今回の取り組みのような、働きやすい時間帯でしっかり仕事ができる働き方を広げたり、デジタルや最先端の技術も積極的に取り入れたりして、若い人にも興味を持ってもらえるような会社、業界にしていきたいですね。
「清掃だからしょうがないよね」と私たち自身が思いがちなんですけど、なにかそこを活性化させて、清掃はこんなに面白い!ということを見せていければいいなと思います。

小川 メーカー間でも、ビルメンテナンス企業様間でも、業界自体の交流が活発になって、もっとオープンな空気を作っていけたらいいなと思います。そして、そのうえで私たちもビルメンテナンス企業様と一丸となってタッグを組んであらゆる課題を解決していける存在になれたらと思います。


環境整備株式会社
〒321-0973 栃木県宇都宮市岩曽町1333
TEL:028-664-3711(代表)
代表取締役 社長 上田 哲也
https://www.kankyouseibi.co.jp/

ケルヒャージャパン株式会社
〒222-0032 神奈川県横浜市港北区大豆戸町639番3
TEL:045-777-7410(代表)
代表取締役社長 柴田 佳代子
https://www.kaercher.com/jp/