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【生産性向上の支援・情報提供】第5弾 <IoT技術の活用で業務の無駄を削減 省力化の先にあるのはお客様との「つながり」>

2025/03/21 10:30

第5弾 IoT技術の活用で業務の無駄を削減、省力化の先にあるのはお客さまとの「つながり」 

産業用ボイラのトップメーカーである三浦工業株式会社(東京本社:東京都港区、代表取締役:米田剛)は、冷却塔管理業において省力化のための後付け可能な製品「CT薬液レベルセンサQP21」を開発し、社内で実装したところ大幅な省力化に成功した。

従来の冷却水処理は決まった頻度での目視確認、採水が中心であったが、遠隔監視が中心の管理体制に移行し、必要な時に確実なメンテナンスが提供できるようになる製品だ。後付けが可能という利点を生かし、気軽に設置が可能であり、クラウドサービスを活用するきっかけとなりえる製品である。

今回は、30年以上前となる1989年からオンラインメンテナンスに取り組んでいる三浦工業株式会社のアクア開発部の企画担当である菊池陽介氏に開発経緯やビルメンテナンスでの活用法、取り組み事例についてお話を伺った。

今回の生産性向上のポイント

以下の生産性向上に資するメリットを享受
冷却塔のIoT管理(CT薬液レベルセンサQP21など)の導入によって
◆ 日常点検業務の約80%を削減
※薬液残量・異常確認、補給水量記録の削減が中心
◆ エネルギーの約10%を削減し省エネにも貢献
※クーリングタワー(冷却塔)能力の余力を発見し、設定温度を見直したことによる。


インタビュー

三浦工業株式会社
アクア開発部 アクア薬品技術課 課長:菊池陽介 氏

※所属部署、記事内容は、取材当時のものです。


弊社は小型貫流ボイラを中心に舶用補助ボイラ、水処理機器、食品機器、滅菌器などの医療用機器の開発・製造・販売からメンテナンスサービスまでを提供しております。お客さまが購入される製品がどこでどのように製造されているのか実物をみていただくことが可能です。四国の愛媛(松山)にあるのですが、遠方から足を運んでくださるお客さまも多く、海外から来られることもあります。2018 年に完成してから多くのお客様にご来場いただいています。

弊社の主力製品はボイラで、産業活動に欠かすことができない熱(蒸気)を作る機械です。基本的にお客さまも頻繁に買い替えるものではありませんし、機器が万が一、停止または故障したら生産活動が全て止まってします。そういった理由から、一度つながりを持たせていただいたら 10 年 15 年といった長いお付き合いになるので、購入後のメンテナンス体制等も含めて、どういう会社かということを実感していただくための施設です。

全国で製品を販売・メンテナンスを行う関係で、弊社には東京本社、松山本社を含め約100カ所の支店があります。全国からこのショールームに来ていただくことで、多くのお客さまに弊社の魅力や機械の魅力を伝えられることはメリットだと思います。

▼三浦工業(松山本社)に隣接するショールーム「ミウラ愛ランド」

https://www.miuraz.co.jp/showroom/

全国に約100カ所と支店の数が多いのは、先ほどお話ししたとおりボイラが1台停止するだけでお客さまに大きな損害を与えてしまうため、早急な対応ができるようにです。メンテナンスに従事する約1,200名のフィールドエンジニアを全国の支店に置くことで、確実な対応が可能となっています。

建物に常駐して多種多様な機器のメンテナンスをするビルメンテナンス業と、拠点を持って自社で提供した製品のメンテナンスを行う弊社では少しメンテナンスの提供形態が異なりますが、メンテナンスという概念は同じですので、色々勉強させていただきたいですし、今回紹介する機器や考え方はぜひご活用いただきたいと思っています。

我々が開催しているプライベート展示会にビルメンテナンス業界の方がお見えになって、いろいろお話をさせていただいたことがきっかけです。その際にこの「CT薬液レベルセンサQP21」等の製品を見ていただいて、ビルメンテナンスでも活用できる、先進的な製品とおっしゃっていただけました。

弊社のボイラは基本的にビルではなく工場が中心ですので、「ビル」メンテナンスという部分に関しては近いところには正直ありません。しかし私が担当しているクーリングタワー(冷却塔)の水処理という部分は、どの建物でも必要ですので主に弊社内で活用している製品が使えると考えています。

弊社ではボイラの定期メンテナンスとセットで冷却塔の水処理機器を提供していますが、フィールドエンジニアの負担も大きな部分でもありました。フィールドエンジニアは修理や点検などフィジカルな作業がどうしてもつきものなのですが、IoTを活用することで生まれた時間をお客さまとの会話に充て、お困りごとを引き出すといったコミュニケーションにもっと時間を使えるようにするのが今回の製品の開発の目的です。

クーリングタワー(冷却塔)の水処理はかなりフィジカルな仕事で、定期的に「機器が設置されている屋上まで行く、点検・採水をする、薬品を補充する」という工程が必要です。特に薬品の補充が厄介で、機器がある屋上まで行って、持ってきた薬品が足りなければ取りに戻らなければなりません。

この負担を減らしたいと考え、製品の開発に着手しました。この製品「CT薬液レベルセンサQP21」では、レーザーを使い薬液残量を遠隔監視することで薬品切れの前に補充時期がわかりますし、必要な分だけの薬品準備で済みます。

たったこれだけですが、日常点検業務の80%が削減できたという事例もあります。特に食品工場などでは衛生面から敷地内に入るのも一苦労ですが、そのほかの工場でも行動効率がよくなりました。思った以上にフィールドエンジニアからの反応も良く、弊社内でも全箇所設置に向けて急スピードで進んでいます。

【機能や効果の詳細は以下をクリック!】

CT薬液レベルセンサQP21 解説PDF


これまでの同様の製品はフロート式レベルスイッチで、薬品が切れたことを検知するタイプが一般的でした。

ただ、それだと薬品が切れた通知を受けてから現場に向かわないといけないため、計画的なメンテナンスにはなりません。ですが本製品はレーザー方式を採用しており、遠隔で実際の薬品の残量を知ることができます。その結果、計画的なメンテナンスが可能になりました。

また弊社では30年以上前から「オンラインメンテナンス®を展開しています。業界の先駆けといわれており、ボイラを含め75,000台の機器をオンラインで遠隔監視しており、万が一の故障を未然に防ぐ「ビフォアメンテナンス」のサービスを提供し、シェアを広げています。製品の開発・製造・販売からメンテナンスサービスまでを一貫して行うミウラの総合力をお客さまに評価いただき、契約のリピート率は95%以上と高い数値を維持しています。

―― ビルメンテナンス業でもこの製品を活用できるのでしょうか。

おそらくビルメンテナンスの業務の中にも、クーリングタワー(冷却塔)の薬品残量を確認する作業はあるでしょう。この作業はビルや工場、建築物のサイズ感は一切関係なく、手間や負担がかかるのは同じと考えられることから、ビルメンテナンス業界でもご活用いただけると思っています。

どの業界でも人手不足が課題の今、従事者の生産性を上げていくことが最重要だと考えています。

業務改善点のアイデアは、皆さまの頭に1つはあると思います。古くからやっているから……といった理由であきらめずに、小さい部分でも省力できそうなことがあれば挑戦してみてはいかがでしょうか。今回の機器導入でも想像以上に生産性の向上に直結したと感じております。今回の話が何か1つのヒントになればいいなと思います。

―― ありがとうございました。

 


三浦工業株式会社(MIURA CO.,LTD.)
代表取締役 社長執行役員 CEO兼CTO 米田 剛
【東京本社】〒108-0074 東京都港区高輪2丁目15-35
【松山本社】〒799-2696 愛媛県松山市堀江町7番地
事業内容:小型貫流ボイラ・舶用補助ボイラ・排ガス(廃熱)ボイラ・水処理機器・食品機器・滅菌器・薬品等の製造販売、メンテナンス、環境計量証明業 等

ホームページ:https://www.miuraz.co.jp/
製品サイト:https://www.miuraz.co.jp/product/
クーリングタワー薬注装置:https://www.miuraz.co.jp/news/newsrelease/2023/1406.php


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https://www.j-bma.or.jp/feature/99125