マンションやアパートの管理を担当するAさん(65歳)。アパートの屋根の除雪作業を行っていたところ、3階の屋根部分から7メートル下の池に転落し、左大腿(だいたい)骨骨折などの重傷を負った。屋根には約30センチの積雪があった。Aさんは雪を下ろすとき、軒先に近づき過ぎて落下したという。
CASE50
雪下ろし作業中に転落! 入念な安全対策をお忘れなく!
2022/01/31 10:00
2022/1/31 10:00 更新
除雪作業時の転落事故にご注意!
雪の多い地方では、毎年屋根の雪下ろしなどの除雪作業で事故が多く発生し、全国では年間1000件以上、100人以上の方が亡くなるなど深刻な被害となっています。死亡事故の多くは65歳以上の高齢者による事故となっていますから、高齢者を中心とした除雪作業中の安全対策、特に命綱・安全帯(フルハーネス)・ヘルメット等の保護具の着用について必要な知識、用具の確保、安全教育を進める必要があります。
また、事例のように、積もった雪が雪庇(屋根から雪がせり出している状態)になっていると屋根との境界が分からず転落してしまうケースも多く、あらかじめ積雪状況をよく確認しておく必要があります。
屋根の除雪作業は日中に、2人以上の体制で行うことを原則とします。体制が整わない場合は無理して作業をすることは避けましょう。
雪下ろし事故は、自宅の屋根など、労働災害ではないことが多いですが、事例のように建物の管理を引き受けている会社の従業員が被災する例も少なくありません。業務として行う場合であれば、屋根からの転落事故に留まらず、作業中の建物利用者への安全確保、下した雪が二次災害を引き起こすことが無いよう、様々な配慮が必要です。ちなみに、昨年12月から2月までの3カ月間で、新潟県内の屋根除雪作業で発生した労働災害は24件、うち1件は屋根から転落しての死亡事故でした。
この記事はマイページ会員限定です。登録(無料)すると続きをお読みいただけます。