CASE82 作業者の配置は作業の特性を考慮し、的確・適正に ―受水槽清掃は資格取得、事前教育の実施を―
【事故エピソード】
Aさん(67歳)は、設備グループ3名でマンションの地下受水槽(約15㎥、層の深さ2.5m)の定期清掃を始めた。槽内の排水が完了したところで、作業リーダーのBさん(50代)は酸素濃度を測りながら槽内に入った。カベの腐食、汚れ、塗装の剥がれなどを確認したうえで、Aさんに高圧洗浄機(重さ約10kg)を使って清掃を行うように指示した。
その後Bさんは、若い作業者Cさんとともに屋上の貯水槽の清掃準備に向かった。しばらく洗浄作業を続けたAさんは、朝から体調が良くなかったこともあり頭痛、悪心を感じたので、清掃器具を手にはしごを登って槽の外へ出ようとした。ところが、途中で頭がふらつき、はしごを踏み外して床に転落、手、足を骨折する重傷を負ってしまった。
[1]資格者はリーダーだけ!?
受水槽(10㎥超)の清掃は年に1回義務付けられています。業務は専門業者に委託することも多いのですが、自社で行うこともあります。
受水槽清掃はタンクや地下ピット内の作業と同様に事故の防止が重要ですが、飲料水の管理という衛生面での厳しい基準をクリアしなければならず、作業にあたるには専門の知識を有した資格者(貯水槽清掃作業監督者)でなければなりません。
今回のケースでは現場リーダーBさんだけが有資格者でした。Aさん、Cさんはこれまでこの作業の経験はありませんでした。また、事故例の清掃対象となった受水槽は地下に設置されたものですから、酸素欠乏症等の発生危険性があり、酸素欠乏作業主任者の資格を有する人を配置し、その監督・指示の元で作業する必要があります。Bさんはこの資格も有していました。
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