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水回りのトータルメンテナンスパートナーとして 衛生的で安心安全な給排水設備に尽力。

2022/02/10 12:00

2022.02.10 12:00 更新


ビルの地下排水や貯水槽など
水回りの衛生を保つシーンで活躍

―― 貴社は、給排水設備に特化した事業を展開されております。

神嶋 「業を通じて社会貢献をしよう」ということで、現在の代表である鈴木とも子の祖父が昭和38年に創業しました。当時、葬儀屋なども含め人の役に立てるような仕事を模索し、糞尿汲み取りの事業を起こしたと聞いています。
現在は、建物地下にある汚水槽や排水槽の洗浄、汚泥引抜を行う「ビルピット清掃」、厨房排水の槽内を清掃し汚泥を吸引する「グリストラップ清掃」、台所、風呂場などからの排水を流す雑排水管やトイレの汚水が排水される汚水管の汚れを清掃する「排水管清掃」、飲料水用の水をためているタンク内の清掃、保守管理を行う「貯水槽清掃」など、水回りの清掃やメンテナンスをトータルに手掛けています。

―― サービス提供エリアは。

神嶋 主に首都圏です。23区内を中心に都市の再開発で、大規模なビルが増えていますから。特に千代田区、中央区、港区が多いですね。

―― 御社のように給排水事業専門のビルメンは多いのでしょうか。

神嶋 同業者でいうと、都内で50社前後でしょうか。
弊社はビルメン協会に加入しているものの、業界としては一般廃棄物と産業廃棄物に関わる“廃棄物業界”になるかと思います。総合的にビルメンに関わる企業から依頼を受け、給排水設備の清掃・点検・工事に特化しています。

―― 業界を取り巻く状況についてお聞かせください。

神嶋 創業当初は個人宅の浄化槽の汲み取りが主流でしたが、現在はご存じの通り全国的に下水道が普及され、東京都でいうと約99.5%と高い水準にありますから、個人宅の浄化槽の案件は限りなく少ないです。イベント会場や工事現場などに設置してある仮設トイレ内の汚物の汲み取りや洗浄といった仕事の方が多いですね。
近年は23区内を中心に高層ビルや大型ビルが増えていることもあり、ビルの貯水槽、各種排水槽などの仕事の需要は多いと感じます。

―― 近年は昔のようにバキュームロータリー車を見ることがほぼなくなった印象です。

神嶋 ビルやホテルはお客様や従業員の方の出入りが日中に集中していますから、早朝や夜といった人の少ない時間帯に作業をしてくれと依頼が入ることが多いです。だから街で見かけることが少ないと感じるのかもしれませんね。

一般廃棄物用バキュームロータリー3t(中型) 6台をはじめ、産業廃棄物用バキュームロータリー、産業廃棄物用バキュームダンパー、超高圧洗浄車など、計13台の車両を保有。
一般廃棄物、産業廃棄物の収集運搬業(東京都許可)等の営業許可。
官公庁や大手企業等の豊富な取引実績があり、年々需要が拡大しているという。
グリストラップとは、下水道に直接油を放流することを防ぐ環境保護の為の装置「グリース阻集器」の通称。レストラン、ホテルなどの飲食店や学校給食・社員食堂・病院・老人ホームなど大量に油を使用する業務用厨房への設置が義務付けられている。グリストラップは建物の中にあることが一般的だが、外にある場合も。排水管から下水管につないで洗浄を施す。

―― 業務の中で、もっともシェアが多いものは何でしょうか。

神嶋 ビル地下にある排水槽の清掃がメインで、弊社における定期的な案件の約7割を占めます。残りの3割が貯水槽と排水管の清掃ですね。清掃から保守まで丸ごと請け負うことも多いです。

―― 廃棄物を回収して処理をされるということで、ビルクリーニングとは異なる領域ですね。

神嶋 そうかもしれません。清掃はもちろんのこと、設備のメンテナンスが重視されますから。
排水に関する設備の掃除は、建築物環境衛生法では6カ月に1回(年2回)、都条例では4カ月に1回(年3回以上)の清掃が推奨されています。また、都条例では毎回槽内の汚泥等残留物質を除去すること、要はバキュームで引き抜くように定められています。さらに3千平米以上のビルだと監査が入ることもあります。
排水槽はポンプが壊れてしまうと水があふれてしまいますから、ビルの管理者からしてもしっかりとチェックして欲しいというニーズはあるでしょう。清掃を怠ると、排水管の詰まりや故障につながってしまい、機能が保たれないばかりか悪臭の発生など衛生面につながってしまったり、ビル利用者や周囲の環境に与える影響が大きくなったりしてしまいますから、丁寧な仕事を心掛けています。

―― トイレ汲み取りの場合は?

神嶋 
し尿が含まれる廃棄物の許可は各区町村が管轄となります。水槽に入れてからポンプで吐き出し、バキュームで汚れを取り除きます。やはり汚いと詰まりやすくなってしまうので、こちらもメンテナンス的な清掃をします。

建物地下に厨房やトイレ等がある場合は下水道管より低い位置にあるため、排水を自然流下で排水することができない。そのため、地下部分で発生した排水を「ビルピット」と呼ばれる排水槽に一時的に貯留し、貯留した排水を定期的にポンプでくみ上げて下水道に排除している。この排水槽の洗浄や汚泥、汚物の汲み取り、付属機器の保守点検等を担っている。
深夜や早朝、休日など、依頼元の都合のよい日時で調整して清掃を行う。
清掃中に槽内の不具合(害虫発生有無や設備故障/摩耗有無など)の点検も行い、依頼があれば当該設備の保守も行うなど、柔軟な対応が信頼につながっている。

―― 社会情勢や景気によって仕事の増減はありますか?

神嶋 昨今のコロナ禍で厳しい業界も少なくないでしょうが、当社としてはほとんど減っていません。業界的にも社会情勢や景気による影響は少ないだろうと思います。緊急事態宣言中は、飲食店系のグリストラップ清掃は一時ストップしたものの、多くのビルの排水槽は動いていますし、定期的な清掃が定められているので。

―― 給排水設備に関わるサービスは、現状は人間がチェックして人間を介して行われているようですが、ロボット化などは?

神嶋 やはり人間の目で細部を見て判断することもありますし、匂いも重要な要素です。チェック項目もありますから、業界内でもロボットを入れているという話は聞かないです。

―― 伺っていると、きわめて職人技という世界ですね。

神嶋 おっしゃる通りで、経験値も必要です。清掃だけすればいいものではなく、ポンプが正常に作動しているか、詰まっていないかといった確認もありますし、ある程度慣れていない人間がやると大変かなと思いますね。当社でも資格保有者が中心となって作業し、その先輩に付いて現場に出向くような師弟関係のようなものはあります。

―― 都市において、上水道はもちろんのこと下水道に関わる部分も極めて重要な社会インフラですよね。災害や地震の際、下水道の破裂などの可能性もあります。ビルに限らず、自治体から寄せられる期待も大きいのではないかと感じます。

神嶋 本社のある板橋区とは災害時の提携をしております。災害が起きた場合に、震災から免れたものの避難所などの集団生活においてトイレを我慢したり、
飲食を我慢して亡くなる関連死が問題となっています。
それに対して、我々が社会に貢献できる余地が多くあるとも考えています。
お客様より信頼され喜んでいただきながら、創業時の「社会に貢献したい」という思いを大切にしていきたいと思います。