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胸を張れる高い業務品質と、心温まるサービスを目指して。

2022/05/18 10:00

2022.05.18 10:00 更新

グループの相乗効果で
総合ビルメンテナンス業としての
存在感を示す


―― 太田さんは小田急ビルサービス入社後に、一度会社を辞めて自費でカナダ留学したのだそうですね。

太田 そうなんです。最終的には短大のレギュラースチューデントとしてカナダ人をはじめ、色々な国の人達と一緒に授業を受けていました。視野を広げるためにも貴重な体験だったと思います。

―― その後再び小田急ビルサービスに再入社されたと・・・。

太田 はい、元々は休職して留学したいと考えていたぐらいなので、戻れたことはうれしかったですね。再入社後は今後のビルメンテナンス事業の発展性、そして小田急グループ全体の相乗効果に貢献することもできると考えました。

―― 設立以来50年にわたって総合ビルメンテナンス企業として活動してきた御社の歴史の概要をお聞かせください。

太田 もともと小田急電鉄のビル管理部門から派生し、1966年に「小田急ビル代行株式会社」として発足。同年に世界初の立体広場として新設された新宿駅西口駐車場および小田急地下名店街(現:小田急エース)の総合管理業務からスタートしました。
その後、小田急電鉄本社の定期清掃業務や小田急沿線主要駅の日常清掃業務を受託するなど、業容を拡大してきました。

―― 小田急グループ、小田急沿線の発展とともに貴社の活躍のフィールドも広がっているのですね。

太田 まさにそうですね。駅をはじめ、オフィス、商業施設、ホテル、教育機関、医療機関などにサービスを拡大し、総合ビルメンテナンス業としての基盤を作っていきました。
創業時は小田急グループ内の業務を中心に行っていましたが、1974年には多摩ニュータウンの商業施設である「グリナード永山」の警備業務など、グループ外のお客さまからの引き合いも頂戴し、現在では、小田急沿線以外のエリア(東京・神奈川・埼玉・千葉など)でも事業を拡げています。

―― 純粋なビルメンテナンス業務に加え、「地域冷暖房*運転管理」にも着手されています。具体的に教えていただけますか。

太田 オフィスビルを中心とした高層ビルや地域全体で環境保全や資源の有効利用を目的に社会インフラとして生まれた「地域冷暖房」を適正稼働させるための運転管理を1982年から請け負っています。現在では、首都圏にある16カ所の地域冷暖房センター、病院への熱源供給施設の運転管理を行い、高層ビルや地域の快適な空間の創出と省エネに貢献しています。

*地域冷暖房(地域冷暖房システム)   冷熱(冷水)・温熱(蒸気・温水等)を一箇所の設備でまとめて製造し、複数の事業家に供給するシステム。近年では電力も製造。メリットとして、各建物・各部屋にあった冷暖房機器を一箇所より供給することによって、スペースの有効利用、省エネ、省CO2などを実現。

――太田さんが考える貴社の強みや、得意としている業務は。

太田 様々な施設のビルメンテナンスを行っていますが、やはり駅という不特定多数のお客さまが行き交う場所で業務を行っていることでしょうか。
2020年度における小田急線70駅の1日平均輸送人員は144万人。コロナウイルス感染拡大の影響で乗降者数などはどうしても減少しているものの、依然として多くのお客さまにご利用いただいていることに変わりはありません。不特定多数のお客さまが快適に過ごしていただけるよう、様々なニーズに応えながら業務を行うということは、なかなか経験できることではないと考えています。

小田急ビルサービスの本社が入居する小田急南新宿ビルはもともと小田急電鉄本社だった。1927年に竣工され、小田急線線路と隣接している。
太田氏は一度、小田急ビルサービスを退職し、海外留学。帰国後に新たなキャリアを模索しようとしたこともあったが、愛着のある同社へ復帰した。「復職させてくれた自社の温かさに恩義を感じている」という。

――おっしゃる通り、駅のビルメンテナンスに関わっていることは同業他社にはない大きなアドバンテージと言えます。

太田 トイレ清掃ひとつにしても、駅のトイレは利用頻度が高く、常にお客さまが出入りしているためタイミングを見計らいながらスピーディな対応が求められます。トイレにおける作業品質について「利用者数が多い中でもきれいに保っている」と評価をいただくことも多いです。また、駅以外で百貨店、商業施設、複合施設とあらゆるシーンを網羅してスキルを蓄積しています。こうした中、高品質でかつ親しみやすい“小田急クオリティ”といえるようなものを創業から50年以上築き上げてきたことが、他社との差別化につながると思います。

―― グループ内外から“選ばれる企業”になるために太田さんが強化している部分などがあれば教えてください。

太田 小田急グループ各社の物件を受託していくことはもちろん、先ほど申し上げた通り、グループ外のお客さまの案件も今まで以上に手掛けていきたいです。入札やプロポーザルにも積極的に参加し、最近では指定管理者業務に対しても構成団体として手を上げています。また、当社物件が集中しているエリアでは業務効率化を図れる利点があることから、コストダウンが実現できる可能性も大いにあります。当社としてお客さまのご要望に誠心誠意対応していきますので、お客さまのご依頼、心よりお待ちしております。
また、当社では業務拡大において、現在協力会社様の募集を積極的に行っています。我々と一緒に業務を行っていただける企業様からのご連絡もぜひお待ちしています。

―― 自社はもとより、業界の底上げなど太田さんが考えていることは。

太田 弊社を含むビルメンテナンス会社で、情報交換をする場を設けています。ここ2年はコロナ禍で一堂に会することはできていませんが、より一層お客さまにご満足いただくためにはどうしたらよいのかなど、情報交換は続けています。このような機会を活用し、新しい発想を生み出していくことができるのが理想です。
また、あらゆるビルメンテナンス企業で共通していると思いますが、やはり人材強化は欠かせません。1998年には業界内でも早期に研修センター(神奈川・黒川駅)を立ち上げ、当時は同業他社の見学も多かったと聞いています。
こういった環境があったからこそ、2021年の「第17回全国ビルクリーニング技能競技会」では当社従業員が東京地区代表として出場し、建築物管理訓練センター理事長賞を受賞しました。このように、一人でも多くお客さまの期待に応えられる「人財」を育成することが企業価値の向上にも繋がっていくと考えています。

2020年には、グループ内の商業施設運営事業ならびにビル管理事業に関する再編が行われ、小田急ビルサービスがそれまで行っていたPM事業は新会社に業務移管。一方で小田急ハウジングのビル管理事業を吸収分割、また、小田急デパートサービスのビル管理事業を吸収合併したことから、小田急グループ内のビル管理事業が小田急ビルサービスに集約される形に。「これにより、省エネや環境対策、建物資産価値の向上などグループ内における我々の役割は、より一層明確になったと考えています」と太田氏。