会社として長期的な目標を描くために。持続可能な働き方と最適な労働環境の実現がカギとなる。
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株式会社ザイマックスサラ
代表取締役社長 岡村洋祐
2022.08.30 15:00 更新
「清掃業界にイノベーションを起こしたい」と考えて社長に就任
―― 会社概要を教えてください。
岡村 当社は、不動産総合マネジメント業などを展開する株式会社ザイマックスのグループ会社です。2008年に株式会社マックスクリーンとして設立し、地域を絞って集中的に出店するドミナント戦略の経営で10社ほど展開しておりました。
ただ、今から4~5年ほど前に、東京オリンピックを控え、さらにインバウンドが佳境を迎えるなど、ビルメンテナンス業界全体は圧倒的な人手不足に直面していました。当社も例外ではなく採用面で苦戦し、「もう一段ギアを上げ、グループのクリーン事業を拡大しよう」ということで2019年4月に全国の清掃専業会社を統合し「株式会社ザイマックスサラ」と名称変更し、首都圏、関西圏を中心に全国規模で清掃事業を展開してきました。
―― 岡村社長のご経歴は。
岡村 私自身はもともとグループの創業会社であるザイマックスにてリーシングやビルの売買仲介などを5年ほど担当し、その後は経営企画や人事を担当してきました。
グループ代表である島田雅文会長が、「ビルメンテナンスは世の中に必要な仕事であり、この仕事の社会的価値を上げたい」という想いを持ってくれている方で、私自身も触発され、「画期的なアイデアをたくさん出して、この業界にイノベーションを起こすんだ!」という意気込みで3年前に取締役東京支社長として着任し、この4月に代表取締役社長に就任しました。
―― 就任後はコロナ禍でご苦労もあったのでは。
岡村 コロナ対策ももちろん大変でしたが、マネジメントの煩雑さを実感しました。
正社員、契約社員、パート・アルバイト、さらにはダブルワークの方、外国人もいる。
実に多様な方々が関わっています。8時間フルタイムで働いてくださっている方もいれば、
逆に短時間なら入れるという方もいて、マネジメントとしては高度な部類に入っており
今も私自身試行錯誤しながらやっています。
イノベーションを起こすには何か画期的なアイデアやシステムを投入するのではなく
こういった一つひとつの地道な積み重ねが大切だと思い、多様な人材を受け入れるべく実直にやっています。
――「地道な積み重ね」について具体的に教えていただけますか。
岡村 細かいことになりますが、現場によっては清掃員用の控室が衛生的ではなかったり、女性用の更衣室がないといった場所もありました。怒りがこみ上げて、「そんな理解のないところで従業員を働かせられない、解約しよう」と伝えたこともあるくらいです。
あとは残業前提のシフトを組まないとか、本当に基本的なことです。無理な労働をしてもらえば短期的には収益が上がるかもしれませんが、従業員が定着しないでしょう。持続可能ではないと「将来的に会社としてこうしていきたい」という目標が描けません。
あとは従業員、そしてお客様との「対話」です。従業員とは年2回の個人面談を通して仕事内容はどうか? 人間関係は? といった話をしますし、現場へのヒアリングも行います。私から「労働環境を改善しよう」とだけ発信して現場との解釈がずれてしまってはいけないので、その都度「なぜそのビルで労働環境の改善が必要で、どんな施策がいいのか?」といった対話をするように心がけています。
―― お客様と対話することに躊躇する声も多いですが。
岡村 昨今、欧米型の不動産投資の視点が入ってくることも多く、ビル管理のコストを見直す中で日常清掃についてもコストカットありきでの減額を依頼されることがあります。しかし、それでは我々がやりたい持続可能なビルメンテナンスが難しくなります。
先日複数社で実施している大型物件の切り替えがあったのですが、「我々が10年間日常清掃をしてきたビルのトイレと、他社が10年間清掃してきたビルのトイレを見比べて欲しい。我々の清掃の品質を見て欲しい」といったことを営業から伝えてご理解いただきました。そこもやはり対話なんです。
国内外での評価を高められる持続可能な働き方・環境を提供したい
―― 外国人技能実習生も多く採用されていると聞きました。
岡村 技能実習生、特定技能はインドネシアから、今現在60名在籍しており、年末には約100名になります。また永住者や定住者、家族滞在などの他のビザでは、東京で16か国300名ほどが在籍しています。
やはり文化の違いから、衛生への感覚、コミュニケーションや考え方、休暇取得の優先度といったことも違います。そういった多様性を理解し、彼らの働く目的、要は収入や働きやすさをしっかり提供して、当社のファンになってもらえたら嬉しいと考えています。
将来的には私達のビジネスをアジアに持っていきたいという野心を持っているので、彼らが日本で数年働いて自国に戻った際に「ザイマックスサラはいい会社だった」と宣伝してもらったり、なにかビジネスでつながりあえたらいいなという理想もあるんです。
―― 長期的な視点と、対話など細やかな配慮で従業員を大切にされているのだなと実感しました。
ゆくゆくは海外で事業を、というお話も出ましたが、国内での展望もぜひ教えてください。
岡村 日本の都市社会を維持するために欠かせない仕事がビルメンテナンスでありビルクリーニングです。これら仕事の重要度に合ったような社会的認知、給与待遇を実現するのが大きな目標ですね。
その中で当社としても成長しなくてはいけないので、最も働きがいのある清掃会社として選ばれる企業になりたいです。
コロナ禍で大会の中止が相次いだそうで「レースという目標がなくなり、8kgも太ってしまいました」と苦笑する
Corporate Information
- 株式会社 ザイマックスサラ
- 本社:〒104-0045 東京都中央区築地1-13-10
- TEL:03-6859-0262(代表)
- 代表取締役社長:岡村 洋祐
- 事業内容:オフィスビル・ホテル・商業施設等の清掃
- https://www.xymax.co.jp/about/groups/xy-sala/