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多くの人と出会い、さまざまな経験をしてきたからこそ今がある。

2023/05/26 17:00

2023.05.26 15:00 更新

ビルメンテナンスは人とのつながり

―― まずはお二人の経歴、太平ビルサービス株式会社に入社したきっかけについて教えてください。

野中 今からちょうど10年前の、30歳の時に東京で勤めていたIT企業を辞めて、生まれの青森に帰ってきました。3.11(東日本大震災)をきっかけに地元に戻るという意思が強くなり、思い切って戻ってきたときにご縁がありこの会社に入社することになりました。
前職はSE(システムエンジニア)というビルメンテナンスとはまったく違うタイプの仕事だったので、最初は新しいことだらけでした。慣れないことから苦労もありましたが、学びや刺激も多く今では楽しく仕事をおこなえています。

外崎 私がこの会社に入社したきっかけは、機械をいじるのが趣味だったことが大きな要因です。生まれが青森の農家だった影響で、子供のころから農機具などの機械いじりを行っていた結果、今でも続く趣味に自然となっていました。なにせ青森の農家は農機具の大半を自分で全部修理しますからね。修理用のガレージがあるくらいです(笑)
最初はボイラーや溶接などの設備会社に就職し、工場の現場で働いていました。そんな時に「もっといろいろな現場をやってみないか」と、太平ビルサービスにお声がけいただいたことがきっかけで転職することになりました。
実際に入社してからは、数多くの現場を回らせてもらいました。

―― 趣味が仕事になったということですか。

外崎 はい、ありがたいことに、趣味を仕事に大きく生かすことができました。それまでの機械いじりの経験からか、現場では設備機器の問題点や修理しなければいけない部分にすぐ気づくことができました。普通の作業員では気づけない、手を出さないであろう箇所にも挑戦していました。毎日に気づきがあり、やりがいある日々でした。たまに、ついついやりすぎてしまって注意をいただくこともありましたが(笑)

今は部署を異動し、営業として働いています。現場作業員と違って、営業は本当に日々の積み重ねですし、個人の仕事というよりチームで仕事をやっていると感じています。現場で育ってきた私に営業が務まるのか不安でしたが、これまで培ってきた経験から、営業の際に業務の詳細まで自分で説明できるという強みがありました。私の部署は大半の方が現場出身者ですので、皆が仕事を深く理解しながらお客様との交渉を進めれるということはとてもプラスに作用しています。
これまでの現場作業とはまったく異なる業務でしたが、毎日気づいて手を加えて作業を終える現場作業と、チームで粘り強く案件を時間をかけてクリアしていく営業では、頻度や大きさは違いますが、どちらも達成感があり、やりがいのある仕事だと感じています。

―― なるほど。野中さんのように別の職種からビルメン業に飛び込んだお立場。外崎さんのように趣味と仕事がつながった方。これまでの経歴がお二人でまったく違いますね。

野中 そうですね。しかも私の前職はプログラムを組むという業務の関係上、基本的に仕事は一人で黙々とやっていることが大半でした。今の仕事とは本当に正反対です。

この会社に入社して最初の仕事で体育施設の担当になったことがあります。人との関わりが本当に増えたなと実感する瞬間でした。施設の担当として現場を管理する立場となり、お客様との調整を行ったり、清掃作業のヘルプにも入ったり、さらには現場業務をおこなっている従業員への作業指示や、それらのサポート業務など、一人ではなく「チームとして」仕事をする毎日が新鮮でした。当時は環境の変化に驚き、戸惑いましたが、同時に楽しくもありました。
青森の地域柄だと思いますが、人と人の距離感が近いのです。そのため現場の清掃員や警備員を介してお客さまのフィードバックを聞けることが多く、施設を担当している身としては非常に助かっていました。

野中 つい先日聞いた話ですが、弊社の作業員が記念日をお客さま(施設の方々)から祝っていただいたそうです。ただ作業をこなすのではなく毎日心を込めてていねいに仕事することで、お客さまとの距離が縮まり信頼関係を築けた、ということだと思います。その報告を受けて、私も自分のことのように嬉しい気持ちになりました。

―― 人との距離が近く、そのうえ良好な関係を築けているからこその「あたたかいエピソード」ですね。反対に、土地柄から感じる課題や難しさはありましたか?

外崎 おそらく全国各地、ビルメン業界全体の話でもありますが、今一番厳しいのは人材不足ですね。最近は人材不足を解消するべく『求人』について、多くのことをこれまでの方針から切り替えて力を入れています。求職者の立場に立ち、届ける情報を考える。基本ではありますが改めて意識して活動しています。

野中 人材の話で言うと、最近うれしい話もありました。外国人の従業員の方が友人に弊社を紹介、おすすめした結果、新たに入社へつながった方がいます。「友人に勧めるくらい良い現場」が社内にあるということが自信になりました。

―― そんな太平ビルサービスの強みはズバリなんでしょうか。

外崎 先ほどから話に出ている人とのつながりのほかに、もう一つ大きな強みとして自負していることがあります。会社として多種多様な施設に対応できるノウハウが蓄積されているということです。青森自体に建物が少ないのもあり、弊社は一般のビルから官公庁と幅広くどんな現場でも対応して受託しております。公共浴場やゴルフ場管理など、もうやっていない施設の種類がないと思えるくらいです。それにより、社内にどんな現場でも対応できるノウハウがあるという自信があります。また、会社の方針で再委託の数が少なく、多くの現場を太平ビルサービスの従業員がワンストップで担当しています。そのため、多くのノウハウが自社内の強みとして引き継がれています。

人との出会いとさまざまな経験が自分をさらに大きくさせた

―― 入社してよかったこと、ビルメンテナンス業界で働いていて「よかったこと」はありますか。

野中 人との接し方、価値観が大きく変わったことです。人と話すとその人の悪い部分ではなく良い部分が見えてくるようになりました。

外崎 野中と同じことになってしまいますが、人の話を聞く力が付いたことですね。やはり、裏方の仕事が多いビルメンも本質はサービス業であり、多くの人とのコミュニケーションをとる業務が多いので、自然と身につきました。
恩人が大切にしていた言葉で「心が変われば行動が変わる」、「行動が変われば習慣が変わる」、「習慣が変われば人格が変わる」、「人格が変われば性格が変わる」という言葉をいただきました。私もこの言葉を常に意識して行動しています。

―― お二人が今後挑戦したいことがありますか?

野中 将来の話になりますが「人材の育成」ですね。現場を統括を担当、指示をしていると、なかなかうまく行かず大変なことがあります。しかし、きちんと話せば皆さん納得してくれる。頭からこちらを否定するような悪い人がいないということに気づきました。すれ違いがおきてしまうのは私の伝え方が悪いんだと考えるようにしています。
研修や集団で『教育!』という形ではなく、パートの方が多くいるこの業界で、一個人、人として接することで自然と教育になると考えています。そういった経験を社内でも引き継いでいって、今よりも潤滑に現場と本部が連携をとれるようにしていきたいです。

外崎 私も従業員、後輩社員の育成に力を入れたいと思っています。また、自然と私的な内容の会話ができるくらい、社内環境を良くしていきたいとも思っています。
やはり社の方針でもあり、青森の特徴でもありますが、人と人とのつながりが大事にしている会社なので、もっとつながりを深く、また心地よいつながりであれるように、社内環境、現場での職場環境を温めていきたいです。

―― 今までのビルメンテナンス業務で何か思い出に残るような業務はありましたか。

外崎 私は病院の貯水槽清掃ですね。ただの貯水槽ではなく600tの大型貯水槽でした。その大きさに圧倒されました。水を抜き切るだけでも数日かかりますし、作業人数も20人ぐらいいた記憶があります。いろいろな現場を回ってきましたが、個人で対応する設備機器が多かったので、その巨大さ、規模感は今でも鮮明に覚えています。
ビルメンの業務といっても、清掃から設備機器、警備まで幅が広く、さらには現場ごとに求められていることも違う。25年勤務してきましたが、まだまだ出会っていない面白い仕事がいっぱいありそうです。

野中 私は十和田湖のほとりにあるホテルのベッドメイク等を含む客室清掃の営業担当になったことです。人員の関係で私も毎日救援に行っておりました。青森県で有名な十和田湖ですが、民家が周りにない関係で、人が住んでいないんです。
つまりホテルに毎日出社しやすい従業員もいないということで、皆さん会社がある青森市や弘前市から出社してました。車で片道1時間半以上かかりました。何より大変だったことが作業量に対して、従業員の「数」でした。客室の状況により流動的に動くことが多いホテルでは、普通でしたら救援を呼び対応するところですが、十和田湖までは距離の問題で、人が足りなそうとわかっても救援を呼ぶことができず、現場にいる人数でどうにかしなければいけないという状況でした。毎日が極限状態でしたし、それ故に仲間意識が相当に強かったです。当時一緒の現場だった方々とは今でも仲良くさせていただいており、顔を合わせるとその時の話をしているくらいです。

外崎 青森では現場まで1時間以上かかることはよくありますね。特に『雪』が厄介です。積雪してしまうとさらに時間がかかります。これは豪雪地帯の悩み事かもしれません。

―― ビルメンテナンス業と深く関係のあったコロナ期間が明けますね。何かやりたいことなどはありますか?

野中 最近、障害のある学生を対象としたアビリンピックの審査員をやる機会がありましたが、とても良い経験になりました。やっとコロナも明けますし、イベントごとがもっと増えていけば良いなという思いがあります。ビルメン業界では中々機会が少ない他社さんや学生さんとの接触が増えますし、刺激をいただけます。多くの学びを得ることができます。
今後も教育・育成の一環としても、行事ごとには積極的に参加して多くのことを吸収できればと思っています。

コロナが5類となり今より少し状況がよくなって、多くの人とまた関われるのがとても楽しみです。コロナが明けてまた人と接しやすい・つながりやすい環境に戻ることがとても待ち遠しいです。

―― 本日はいろいろなお話をいただきありがとうございました。