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地域に貢献し、地元に活かす。快適環境を”未来へつなぐ”

2023/07/26 10:00

地域に貢献し、地元に活かす
快適環境を”未来へつなぐ”

―― これまでの経緯について教えてください。

梶原 学生生活は横浜で過ごしていました。高校までは大分におりましたが、その後、一般企業に就職しました。

―― 企業の承継は意識されていましたか?

梶原 正直、当初は何も考えていませんでした。ただ、現実の問題として私が長男であり、継ぐということを意識したとき、年齢も気になりました。生まれ育った地元であるからこそ、しっかりと事業を展開するには早いほうが良いと考え、決意しました。
ビルメンテナンス業がどのようなものであるのかも分からないまま、お客様担当などを繰り返しながら少しずつ「何か」を掴んできたように思います。現場で働く従業員からもいろいろと声をいただきました。本当に叱咤激励を含め、どのように考え、思いながら、日々、仕事をしているかということを実感することができました。

私自身は、社長というのはひとつの役割だと認識しています。現場で働く人たち、社員、パート、すべての人がいて、その一人一人の働き方が会社を支えているのです。
会社を支えてくれている「人」こそが財産だと実感しており、私の仕事の大きな部分を「人材の発掘」が占めています。社内研修などで社員に直接、話す機会があるのですが、その際にも旭環境管理の社是などを説明しながら、自分が語った社是を私自身がきちんと実践できているか、自問自答しています。

結局のところ、役割であるからこそ、その部門ごとに達成しなければいけないことを意識できるように思います。私の社長という立場で動かし判断しなければいけないことと、現場で働く人たちや本社勤務の人たちも同様です。働く原資はそれぞれが担っているのだと考えています。社員を大事にし、お客様を大事にすることが原点であり、出発点です。


▲社内研修でも活用している会議室の掲示板。自分への戒めのためでもあると梶原社長は話す。

―― 社員を大事にし、お客様を大事にするということを意識されたとき、気づかれたことはありましたか?

梶原 現場がいかにスムーズに作業ができるようにできるか、その上で、いただいている仕事の中でお客様との信頼関係を構築していくことが一番であると思いました。

―― 実際にどのようなことですか?

梶原 社長に就任したその直後に、新型ウイルス感染症のコロナ過に見舞われ、売り上げもコロナ前からダウンしました。その一方で、大切にしてくださるお客様もいて「変わらずに継続して業務にあたって欲しい」という声もいただきました。先代の頃から築いてきた「信頼」という言葉が、この時ほど身に染みたことはありません。そういった「信頼」を実感できる経験は、ある意味でコロナ過だったからこそハッキリと感じ、学ぶことができたのだと言えるかもしれません。

社会全体が疲弊した状態でありましたが、一方で、社内に対しても「このような状況でもできることはないのか?」を常に意識していました。幸いなことに弊社では、新型コロナウイルスのクラスター(集団感染)と呼ばれる事例は発生しませんでした。いずれはこの感染症との戦いは終わります。それが、勝って終わるのか、「共存共栄」か、まだ未来がどのようになるのかはわかりませんが、withコロナを見据えた展望を切り開こうと社員に語りました。
その結果、業務を一人で抱えるのではなく、どのようなことができるのか、働き方なども変えながら皆で共有できる仕組みづくりを始めました。そこから生まれたのが「業務の共有化」で、一人二役ができるようにというイメージで進めています。まだまだ道半ばではありますが、これからも続けていこうと話しています。


▲理想を含めて働きやすい職場はどういうものかを語っていただいた。

―― 梶原社長が言う、会社の財産とはどのようなものなのでしょうか?

梶原 一人二役ももちろんですが、財産というものは、失敗にこそ、隠れているように感じています。社内では、チャレンジを積極的に採用するようにしています。アイデアや改善の提案なども含めて、「これは!」と思ったこと、感じたことは、すぐに教えて欲しいと言っています。

本当に、どこに伸ばす要素があるかはわかりません。だからこそアイデアであっても共有し、そのアイデアを基にお客様に提案できるものを作っていこうと話しています。
わかりやすく自分の気持ちで語れば、バットを振っての三振はアリだけど、見逃しての三振はナシだと言うことです。バットを思いっきり振って当たらなくても「ご苦労さん!」と声かけをすることができます。それが、ヒットやホームランだったら一緒に喜ぶことができますし、うれしいことを共有することができます。ですから、失敗を恐れずにチャレンジすることが大事だと思います。そして、その結果が仮に上手くいかなくても最後に責任を取るのは、社長の役割です。

一方で、チャレンジしてはいけないことが「安全」です。労働災害といった事故は誰も受け入れたくないものです。その事故が起きたことを振り返るとき、繰り返し起きるような事故があります。掃除機のコードに引っかかって骨折とか、何年か前にあったことが同じように起きています。
会社の財産とは、良いことだけではなく、悪かったこと、失敗してしまったことにもあるのです。恥ずかしいことではありますが、ひとつの事故が起こればその直後や何年間かは覚えていますが、結局、忘れてしまうという現実がありました。だからこそ、同じ轍を踏まないようにその失敗、過去10年を目安に掘り起こしていくことをしています。



▲失敗にこそヒント・チャンスがあると話す梶原社長。

―― 企業としてあるべき姿、理想像をお聞かせください。

梶原 当社は来年に60周年を迎えます。グループ企業の4社を含めて、総合管理の持つべき姿や強みなどを積極的に発信できればと考えています。
清掃・清掃管理・環境衛生管理・警備など、多岐にわたるビルメンテナンス業として、現代において最も重要なことは、そこに集い、暮らす皆さまが、心から安心できる空間を創り出すことだと思います。快適な環境を創造し、お客様の資産をしっかりと維持・管理していくためにできることを積み重ねていき、「いま」を大切にしながら、「未来」へとつながる環境づくりに全力で取り組む。私たちは、ビルメンテナンスを通じ、社会に貢献できる企業を目指していきます。