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人に優しく、地球に優しく、すべては「きれい」のために

2023/08/21 11:29

人に優しく、地球に優しく、すべては「きれい」のために

―― 入社のきっかけについて教えてください

山本 清掃の仕事に飛び込んだきっかけは、当時はまだ子どもが小さかったこともあって、時間に融通が利く仕事として、週1日、2日程度でこの業界で働き始めました。
その後、子どもが4年生になったタイミングで転職しようと思ったとき、子どもを通じて知人だった専務に声を掛けていただいて、今度はパートで1日5時間勤務の現場で働いていました。もともとは社員や契約社員のようにフルタイムで働くつもりはなかったんです(笑)
その後、書類作成などの事務仕事で人手が足りていないということで、5時間の現場が終わった後に手伝いに入るようになり、フルタイムのパート勤務に。
そこから契約社員になり……キャリアアップ訓練の活用をして、ついに社員になりました。そのような経緯でパートから正社員まで、ほぼすべての立場を経由してスキルアップをしてきました。現在6年目になります。

―― 今はどのような仕事ですか?

山本 パートだった頃は、日常清掃の現場3か所ぐらいでの作業が主でした。一か所に留まるよりいろいろなところで仕事ができるのが性に合っていたようです。
その後、定期清掃班のある業務管理課に異動できるチャンスで志願をして、異動しました。
そこからは日常清掃ではなく定期作業班としての技術とキャリアを積んで……。それと同時に、営業活動も行うようになりました。いただいたご依頼に対応するという意味での、いわゆる反響営業のような形です。
社員として働くようになってからは、自身の現場作業だけでなく、管理・指導する側になりました。現場のリーダーとして、パート・アルバイトや新入社員への指導などを行っています。パート・アルバイトや新入社員といっても、技術を求められる職種でもありますので、自分が作業の中心から外れていくためにも時間をかけて指導していかなければならないなと感じています。
現場の視点から何が必要なのかというのを考えながら、できるだけ作業を平準化し、マニュアルや仕組みを作成することに取り組んできました。
ですが、一方でマニュアルを作れば、それで良いかといえば、違います。とにかく、人がやらなければいけない作業だからこそ、伝える事項のすべてでマニュアルあれば「大丈夫」といったものではありませんし、現場の方々はマニュアルを隅々まで読み込むような時間がありません。
そういった方も困ることが無いように、チェック表を作ったりと、マニュアルでカバーできない部分をきちんとフォローできるようなものも用意していますし、自分の経験を伝え、その中からヒントを得るような研修や教育にも力を入れています。

―― ご自身の経験を踏まえてのことですね

山本 自分がパートとして入社して、社員になり、人を教えていくという立場になったからこそわかるものがあると思っています。清掃の経験が無い人や以前に経験した人などにも丁寧に教えていくことが大事だと思っています。
とにかく、一つひとつの積み重ねが大事だと思っていて、それが、結果として結びついた時は大きな喜びです。
指導をした方が、ショッピングセンターのメンテナンス業務の中で、利用者から「いつも建物が大変にきれい」「ここまできれいにしてくれている」「利用者からの評判がすこぶる良い」との評価をいただき、感謝状をいただくことができました。
全国に展開しているショッピングセンターですが、このようなケースはあまりないとのことで、授与された本人と一緒に大喜びしました。

―― 一つひとつの成果。大変に大事ですね

山本 一朝一夕にできることではありませんでした。マニュアル作りも試行錯誤で、私がマニュアルに記すべきコンセプトなどを考えて、それを実際の原稿に仕上げることに携わってくれた社員もいます。
とにかく、一人でできることではありません。そのことを教えるという立場に立って実感しました。だからこそ仲間が大事ですし、会社の考え、理念に基づいて実践しながら、答えを出していくものだと思います。その中で、外部の方からも評価をいただけるということに接して、やっていることに間違いはないという気づき、発見ができたことも私にとっての貴重な経験です。


▲施設よりいただいた感謝状。
授与された方も現在、山本さんと一緒に仕事をされている

―― 逆に、これまでの経験の中で特に苦労されたことなどはありますか?

山本 管理業務になってから、ものすごく苦労したと思います。
自身があまり人に言いづらいことなどを強く言えないタイプで、最初の一年間はすごく葛藤がありました。言いづらいけれど、立場上言わなければならないことはもう腹を括って言うようになって……。これが一番苦労したところで、とても勇気が要りました(笑)
とはいえ、やらなければ本音でのやり取りができません。いい関係を築くまで年数が掛かりましたが、とても勉強になりました。

―― 具体的な例をお伺いしてもよろしいですか?

山本 例えば、とある現場では本部から週に2回、必ず応援を出しているんです。ただ、応援に行っているスタッフはずっと現場で働いているわけではなく、現場のベテランのパートさんから「ここまでやってほしい」と、高レベルな要求が上がっていました。応援スタッフも一生懸命やってくれているのですが、現場のパートさんからは、連絡に使っていたノートにも結構キツイことも書かれていて。
その結果、応援に行っているスタッフから「こうやって言われるのが辛い」と悲鳴が上がっていました。
お客さまへ提供する品質としても問題のない範囲だったのですが、ベテランの方なので「自分のレベル」を基準に考えてしまっていましたし、お客さまに喜んでいただきたいという気持ちが強すぎたんですね。だからこそ、あまりほかの人も強く言えなかったようでした。誰も「腹を割って話す」ことができていなかったんです。
しかし、言いづらいからとその場しのぎでたしなめる程度に留めておいては、今後同じことが続いてしまうので、きちんと本音でぶつかり合うしかないと考えました。
連絡に使っているノートをやめたり、定期的に話をする機会を作ったり、不満を聞いたりと間に入ってケアに専念して、ひたすら続けてきて……。時には言い返したり(笑)
結果として、その方の対応も大きく変わり、話をしても不満ばかりだったのが、良い雰囲気へと変わっていきました。
この雰囲気になるまでに要した1年間ほどの期間が、一番苦労したのかなと思います。
一つひとつの小さな不満やトラブルを乗り越えていかないと、いい関係が築けないのだなと身をもって知ることができました。
対人という意味では、お客さまと接するよりも社内である分、とても難しいことで、かつこれからもさまざまな現場で乗り越えていかなければならない課題だと思っています。

「気持ちよく働いてもらうために、自分が何をしていくべきなのか」を考えて実行していくことが、実は一番難しいことだったと思います。

株式会社グローバルクリーン
代表取締役社長 税田和久


―― まず、会社のことを教えてください

税田 当社は個人創業から誕生した会社です。船出は資金も人脈も知名度もない、厳しい経営環境でした。そこで大切にしてきたことは「誠実に、真面目に、謙虚に、正直に、ていねいな仕事を積み上げること」「どんなに苦しくても「正しい経営」をすること」でした。

―― 税田社長の話す、「正しい経営」とはどのようなことですか?

税田 社会全般にも通じることですが、往々にして、わが業界においても理不尽な形で仕事が奪われていくことがあります。そういった「壁」を乗り越える強い気持ちを忘れないで、社員を信じて、共に「幸せ」になると決めて、挑戦し続けていくことです。
すべての人に感謝し、日々の業務を担ってくれている社員、そして、お客さまに恩返しするために、地域社会からグローバル・クリーンが選ばれ、必要とされ、認められ、信頼される「いい会社」になる、この想いを胸に刻み、挑戦し続けていくことです。


▲会社案内から経営企画書まで、すべての書類に社長の「想い」が溢れる

―― 社会から認められるというのは、難しい課題ではありませんか?

税田 確かに断片的な事象でとらえれば難しいと思います。
地域に役に立つ、お客さまの役に立つということがどのようなことであるか? そこは非常に大事です。
官公庁と民間とひとくくりに分けてしまえばそれまでですが、ビルオーナーであり、発注者であることに変わりはありません。一方で求められる要求は多種多様です。品質と価格が必ずしも一致する業務ばかりではありません。だからこそ、技術力が大事だと思っています。技術力と社員の力で、どのような要求にも応えていく。そういった姿は決して楽ではありませんが、突き詰めていきたいと考えています。
だからこそ、外部からいただく評価は大事にしています。本当に小さな会社ではありますが、経済産業省より「新・ダイバーシティ経営企業100選」の選定を受けたり、宮崎県の「男女共同参画功労賞」などを受賞しています。こういった国や地方自治体を問わず、賞をいただくということはひとつの励みになります。お客さまの課題と社会課題の両方を解決するという取り組みです。それをクリーンコンサルとしてビジネスモデルを確立しました。

―― 企業の理想と社会からの要請に応えるところに一致点はありますか?

税田 はい。社会の要請に応えることと、企業の理想は同じ歩調で取り組んでいます。私自身が考える「正しい経営」には結びつきません。

―― 会社のあり方、経営を考えるとき、どのような点を大切に考えていますか?

税田 グローバルクリーンだからこそ、できることをとことん追求していきたいと思います。
代表的な例はチームワーク、チーム力です。シンプルに言えば、皆がカバーし、助け合いながら業務を進めていくということです。ライフワークバランスも当然ですが、弊社にしかできないことを強みしていきます。
働き方は多種多様です。今までは、辞めなければ親の介護や看護ができなかった。小さい子どもがいると急に休まなければならず、仕事が続けられなかった。そういった事例はいっぱいあります。でも課題を解決し、チームで一つの仕事を完遂するという視点に立てば、できないことではありません。
そのためにはとことん話して、業務の一つひとつを皆が理解します。そうすることによって「こういうことなら一緒にできます」「万が一の際はカバーできます」というのが見つかります。もちろん、カバーできる人にも不得手はあります。そういったことを共有して「じゃあ、あなたの苦手なところは私がカバーしますよ」といった雰囲気が醸成されるのです。

―― 最後になりますが、今後についてお聞かせください

税田 清潔で快適な環境を嫌う人はほとんどいないと思います。きれいな部屋に住み、きれいなオフィスに通勤し、きれいな街を歩く。きっといい気分になり、幸せな気持ちになるでしょう。
我々は「クリーン」という言葉はとても大切で、大きな力を秘めていると考えています。この力を使って社会の課題に挑戦していきます。大きな視点から言えば、世界のさまざまな社会的課題を解決することで事業成長を目指し、社会の発展や人々の生活の向上に貢献していきたいと考えています。
お掃除だけでは終わらない、お掃除のその先にある新しい需要を創造し、社会から必要とされる企業であり続けることで、企業価値を向上させていきます。