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関わる全ての人を「笑声」で幸せにします

2024/06/21 09:00

 

―――「笑声」という言葉が印象的ですね。

渡邉 笑顔の声、顔が見えなくても笑顔と分かる声が笑声「えごえ」です。2011年のある月に「挨拶は目と目を合わせて笑声でしよう」という目標を設定しました。この目標は社員を含めたミーティングの中で出てきた「笑声」という言葉にみんなが共感し、目と目を見て挨拶だけでは足りない、笑顔の声「笑声」を加えようと決めたものです。当初ある1ヵ月の目標でしたが、これを継続できると会社全体の雰囲気がより良くなるのではと今では経営理念になりました。

―――後ろの書道の文字が素敵ですね。

渡邉 ダウン症の書道家、有馬圭太郎氏が「笑声」と書いてくれました。

―――入社のきっかけについて教えてください?

渡邉 学校卒業後、旅行好きという事もあり、旅行会社に就職しました。ただ、その会社を2ヵ月で退職しました。バブルがはじけた影響で業務が大きく変わり、旅行会社に入社したにも関わらず、ゴルフ会員権を販売するように指示されたためです。
退職後はしばらく、大阪の友人の家などを転々として過ごす期間がありました。そのような中、父親から叔父の会社に若者がいないので、そこで働いてみないかと声を掛けてもらい、ワタナベ美装に25歳で入社しました。

―――働いてみていかがでしたか?

渡邉 最初はトイレ清掃などをしていると、「ありがとう」と声を掛けて頂く事が素直に嬉しいと感じました。さらに仕事をする中で、清掃という仕事も好きですが、私自身が人を育てる、人とかかわる事が好きだと感じるようになり、現在にまで至っています。

―――社長になった経緯を教えてください。

渡邉 2006年、私が34歳のときに、創業社長である叔父にがんが見つかり、数カ月で亡くなりました。その後、創業者と一緒に仕事をしてきていた役員2名が退職し、会社で一番上の役職者が、業務部課長だった私になりました。選択肢はいろいろありましたが、この仕事も好きで、ワタナベ美装も好きだったので、会社に残って、やっていくことにしました。
そこで、叔母が社長、私が副社長となり、再スタートを切りました。最初に行ったことは、パート・アルバイトも含めた全従業員からアンケートを取りました。いろいろ辛辣なことも書かれていましたが、それを一つずつ改善していきました。
改善のひとつに、「トップスターミーティング」があります。アンケートの回答で、本社と事業所スタッフの意見交換の場がないと書かれていましたので、交流の場を作りました。また、社内表彰制度も開始しました。
社長就任後はみんなに伝わる、思いがある経営理念が必要と考え、現在の『関わるすべての人を「笑声」で幸せにします』に変更しました。また、働くスタッフに向けた「トップスター七カ条」を作成しました。

トップスター7カ条

一、感 謝 「ありがとう」感謝の気落ちを素直に伝えられる人である事。
一、愛する  お客様を愛し、共に働く仲間を愛し、愛される人である事。
一、挑 戦  1日1日が始まりと心に決め常に挑戦する人である事。
一、育てる  自分の知識を惜しみなく与え、支えられる人である事。
一、学 ぶ  どんなことからも学べる人である事。
一、礼 儀  常に礼儀正しく、気付く人である事。
一、笑 声  常に明るく元気よく、笑声で接することが出来る人である事。

―――表彰にはどのようなものがありますか?

渡邉 たくさんありますが、一番のお気に入りは「人生これからで賞」で、会社で最高齢の男女お一人ずつを毎年表彰しています。
弊社では「90歳現役プロジェクト」という取り組みをしています。それを言うと、驚く人が多いのですが、そんな時代あっという間に来ると思っています。数年前まで定年は60歳でした、そのちょっと前までは55歳、今では国が70歳まで働く事を進めています。あと10年位したら、90歳なんてこともあり得ると思っています。
働く事は健康維持につながりますし、社会とつながれます。それにお金も稼げます。 現在の弊社の最高齢は82歳ですが、90歳現役を達成できるように社内環境づくりをしていきます。

―――入社したきっかけはなんですか?

木村 最初は定期清掃で体力的に厳しいと思う事はありました。ただ、同僚と一緒に働く事で楽しいと感じるようになっていきました。

―――部下とのコミュニケーションで気を付けている事はありますか?

木村 相手を尊重する事を意識しています。どうしても考え方が違う部分があり、難しいと感じる機会はありますが、相手に理解してもらえるように努力はしています。特に自分自身の経験を元に細かく伝えるようにはしています。また、社長が部下を褒めている姿をよく見かけます。それを真似て、褒めるようにしています(笑)

業務に励む木村課長

―――木村さんはどういう方ですか?

渡邉 木村さんは集合研修、社内のレクレーションなどの際にみんなに声を掛けてくれています。誰もが木村さんがいる事で安心してくれます。全体を見る事については社内では抜きん出ていると思います。

―――渡邉社長はどういう方ですか?

木村 社長は困った時に頼りになる方です。相談にのってくれます。自分自身で考え、迷った時には相談しますが、大半は「木村さん、決めてええで」と言ってくれます(笑)

―――木村さんは今後、会社がどうなっていってほしいですか?

木村 若い子たちを中心にみんな成長してくれていますが、今後はさらに自分自身で考えて行動してほしいです。その方が仕事は楽しいので、それを知ってもらいたいです。そうなってくれると思っています。

ワタナベ美装のスタッフの皆さま

―――本日、会社の玄関に「ようこそ」と書いていただきました。オフィスも明るく、アットホームな雰囲気を感じますね。

渡邉 うちの会社には手を振る文化があります。「行ってきます」「お疲れ様でした」と言うだけでなく一緒に手を振ります。その方が会社の雰囲気がより明るくなります。今では会長も含め、全員が行っています。(※筆者も帰り際は手を振りました)

また、私は10年以上、現場の方へ日頃の感謝を伝えるために、お誕生日にお祝いしに行くようにしています。私の事を知ってもらえるし、普段はお会いすることがないので、あえて会う機会を作っています。

―――今後どういった事に取り組んでいきたいと思いますか?

渡邉 実現したい未来は誰もが一歩踏み出せる社会です。働きづらさを感じている人でも一歩踏み出し、仕事を通じて活躍できる社会にしたいと思っています。最終的な目標は世界平和です(笑)