グリーン購入法
2021/09/27 12:00 更新
「庁舎管理」や「清掃」なども対象に
物品等を購入する際に環境への負荷が少ないものを選ぶことは、地球温暖化をはじめとする重要な環境課題の解決につながります。国では、持続可能な循環型社会の形成を目指した循環型社会形成推進基本法の個別法のひとつとして、2000年に「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(以下、グリーン購入法)」が制定されました。グリーン購入法では、国等が重点的に調達を推進すべき環境物品等において「判断の基準」を満足するものを選ぶことを義務づけており、毎年、調達実績を公表するように求めています(地方公共団体では調達をするように努める[推奨]こととしています)。同法の基本方針では、22分野282品目に対して調達の際の判断の基準を定めています。
グリーン購入法についてより詳しく知りたい場合は、下記のサイトをご覧ください。
「グリーン購入法.net」(環境省サイト)
「物品等」というと、文房具や作業服を思い浮かべるかもしれませんが、この法律では物品等に「役務」(サービス)も含まれており、その中には「庁舎管理」「植栽管理」「清掃」もあります。これらの品目において環境に良い取り組みを提供できる事業者が入札に参加できるようになっています。
また、ビルメンテナンス業における代表的な環境配慮の取り組みとして、エコチューニングがあります。エコチューニングは、ビルの設備機器・システムの適切な運用改善によるCO2削減を行うもので、カーボンニュートラルに向けた有効な取り組みの一つです。グリーン購入法の「庁舎管理」の判断の基準には、「エネルギーの使用量、水の使用量及び廃棄物の排出量」の管理に関する記載があり、こうした分野でエコチューニングの活用が期待されます。菅総理大臣が昨年10月の所信表明演説において、「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年にカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と宣言したことは記憶に新しいのではないでしょうか。
エコマークが「清掃サービス」の認定を開始
グリーン購入法の基本方針における判断の基準は、購入する側に対する基準であり、サービスを提供する事業者を認定する制度ではありません。調達者は、基準に合っているかを判断するために、第三者機関による環境ラベルの情報を十分に活用することが有効です。国が公表している調達者の手引きでは、調達時に参考にできる環境ラベルの一つとしてエコマークが掲載されています。
エコマークは、環境に配慮された製品やサービスに付けられるマークです。国際規格のISO14024に基づくタイプI環境ラベルと呼ばれるもので、持続可能な社会の形成に向けて、消費者ならびに事業者の行動を誘導していくことを目的としています。
エコマークでは、71の分野に認定基準を設け、第三者機関として審査のうえ、認定しています。認定基準は、省エネ、リサイクル、再生材料の使用、有害物質の不使用など、商品のライフサイクル全体を考えて、全体の環境負荷が低くなるように作られています。
また、エコマークは、原則としてグリーン購入法(判断の基準)に適合するように認定基準が設定されていますので、エコマークを活用することで、グリーン購入法に適合する物品の購入ができます。
今年2月にオフィスビル等の施設で行われる清掃管理業務を認定の対象とした「清掃サービス」の認定が開始されました。エコマークの基準は、グリーン購入法の「清掃」の基準に合致する内容となっています。エコマーク認定を受けた清掃サービスは、グリーン購入法の要件に適合する証としても使用でき、今後の入札等での活用が期待されています。
文/日本環境協会 エコマーク事務局 基準・承認課